シーズ本位の新規事業アイデア出し:なぜプラスチック射出機のメーカーがエアウィーヴに大進化できたのか?

用途開発

シーズ本位の新規事業アイデア出し:なぜプラスチック射出機のメーカーがエアウィーヴに大進化できたのか?

目次

技術シーズ先にありきの事業開発の成功事例

事実:東芝の「迷子の」技術なくして、iPod爆誕はなかった

御社が製造業なら、これは学ぶところの多い話です。

東芝は、20世紀末、コツコツと基礎研究を重ねて、1.8インチという、当時としては極小のハードディスクを開発しました。

さて、苦労してようやく世に出した後、東芝はハタと困りました。よく考えたら、

誰がどんな目的でこれを使用するのか、不明確なまま、上市まで突き進んでしまった

のです。

ええと、ノートPCより小さいコンピュータ?そんなもの、誰が何のために欲しがるのだ?
画面まで小さくなったら使いづらいだけだし ……

すなわち、このハードディスクは、せっかく開発したのに東芝の中では、行き先を失って迷子になっていました。誰にどう売ったらいいのか、開発当初は、ノーアイデアだったのです。

そこに目を付けたのが、かのスティーブ・ジョブズ。彼と一緒に来日したAppleのマーケティング担当が、この迷子を見出し、救い出しました。

これさえあれば、iTunesにつながった、小さくておしゃれな音楽プレーヤーが開発できる!ジョブズは快哉を叫びました。

こうして世に生まれ出たのが、iPodです。当然ながら、iPodが大流行すれば、ハードディスクも飛ぶように売れていきます。iPodの陰に隠れた、東芝の大成功物語です。

いま、成功物語と思わず書いてしまいましたが、よく考えるとこれは

結果論としての成功

にすぎません。

なぜなら、ジョブズがこの技術シーズ/要素技術を見つけて iPod に組み込もうと考えたのは、抜群の幸運にしかすぎなかったからです。

つまり、本来なら、このような用途は、東芝のマーケターがきっちり思いついておかなければならないところだったのです。

 

なぜ味の素が半導体技術でシェアナンバー1を獲得できたのか?

「味の素」と聞いて思い浮かぶのは、やはり“うま味”調味料。

でも、世界の最先端パソコンやサーバーの“頭脳”にはなくてはならない、ある半導体材料のトップシェアが、実はその味の素なのです。

味の素が生み出した「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」は、インテルもTSMCも頼りにする“絶縁材界のラスボス”。世界シェアはほぼ100%、まさに「なくてはならない材料」なのです。

なぜそんなことになったのか?その答は、

用途開発

の妙技にあります。

もともと食品の副産物やアミノ酸の技術をコツコツ磨いてきた味の素が、同社の化成事業の競争激化に伴い、「この技術、ほかのどこかの業界に使えないか?」と、化成を扱っている部署の社員総出で、死に物狂いで転用先を探したのがきっかけ。食品で培ったノウハウを、まさかの半導体業界に応用してしまったのです。

しかも、当時の半導体業界は、インク型絶縁材の限界に悩まされていました。そこへ現れたのが、味の素の“フィルム型絶縁材”。「これだ!」とばかりに業界標準となり、今や世界中のパソコンやスマホの中枢に味の素の技術が息づくようになったのです。

このように、研究開発を通じて すでに完成している要素技術(技術シーズ)を別の市場で事業化する用途開発は、既存の技術の市場性を新しい視点から再評価し、新たなビジネスチャンスを創出するためのプロセスです。

東芝のように「幸運待ちの状態」ではなくて、自分から意図的に転用先を探しに行く用途開発を、この記事では解説します。

 

用途開発とは、新規事業の形の一つ

用途開発の定義は、既存の技術や製品を、従来の用途から新しい用途に転用することで、新規事業を生み出すものです。

用途開発の定義と重要性

用途開発では、ある技術や製品が持つ本来の機能や特性を異なる市場にいる顧客に対して別の形で提供することで、新しい価値を創出します。

まずは、製薬会社の例が最もぴんときやすいかもしれません。製薬会社が既存の薬剤を異なる症状に活用するケースとして、もともとは狭心症の治療薬として開発されたバイアグラの例が最も有名でしょうが、そのほかにも、大腸がんの予防に役立つ可能性があるアスピリンのような例もあります。

ただ、これは味の素や、下に挙げる富士フイルムの例のように

ある領域で使用した要素技術を、他の事業ドメインでのビジネスに生かす

という、用途開発が「本領発揮」できるパターンとは言えませんね。この記事で取り上げるケースは、このパターンがメインになります。

用途開発が重要な理由は、これによって、特に製造業の企業がコツコツ積み上げてきた、既存のリソース(強み)を最大限に利活用できる点にあります。

下手をすれば10年以上の基礎研究をコツコツ行わない限り新製品を生み出せない

という状況に常に置かれている材料化成メーカーや機械部品メーカーは、この用途開発をいかに効果的に活用できるかが、新規事業を生み出し、事業を拡大していく決め手の一つとなるでしょう。

 

用途開発が注目される背景

用途開発が注目される背景には、情報が急速に世界に広まることによりかつてないスピードで市場は成熟、飽和し、競争が激化したことがあります。

どんな市場であっても、ブルーオーシャンを長く謳歌(おうか)できる状況にはないと思った方が良いでしょう。

その典型例が、最近、とみに衰えが指摘されているテスラです。テスラは、中国市場において初めての外国資本100%で造った工場から技術が流出、中国メーカーはテスラよりはるかに安いコストで優秀な、EVを造ることができるようになった結果、中国における売上は、物議を醸したマスクCEOのトランプ政権へ参画のはるか前に、中国での売上は振るわなくなっていました。つまり、

EV市場は、本格的に立ち上がってから(モデルSの発売年は2014年)ものの10年弱で、価格競争の世界に早くも突入した

ということです。

こんなケースはそうそうある話ではないものの、多くの市場で かつてないペースでレッドオーシャン化が進む現状で、企業は差別化のため、新しい価値を常に探求する必要に迫られています。用途開発は、新しい市場にいる顧客がいま抱えている問題の解決を合わせた独自のスピーディな提案を可能にします。

 

用途開発による新規事業はなぜ難しいのか?

用途開発により、企業は新たなビジネスチャンスを拡大できますが、

あらかじめ売りたいもの(要素技術)ありきで顧客の問題を探す

形にならざるを得ないため、このタイプの新規事業には大変な困難を伴います。

 

用途開発のメリット:新規市場への参入

特に製造業にとって、新規市場への参入には、用途開発の視点が欠かせません。既存の技術を新しい用途に活かすことで、未開拓の市場にアプローチできるのです。例えば、零細企業だった日本高圧電気は、自社製品のプラスチック射出成型機が打ち出すプラスチックをマットレスに詰めるという大胆な発想でエアウィーヴを開発、大企業に生まれ変わりました。用途開発なら、このように、異なる業界に技術を転用することで新たな需要を生み出せます。

ただし、用途開発による新規事業が、このエアウィーヴのように必ずうまくいくと思ったら間違いです。エアウィーヴの場合は、日本高圧電気の社長自身がむち打ちで苦しんだ経験があったから、あそこまでうまくいったという面がとても大きいと思います。いわば、自社製品の最初の熱心なユーザーが社長自身だったのです。

 

用途開発のデメリット:新規事業成長に立ちはだかる壁

事業開発の専門用語の一つに、

SISP(Solution In Search of a Problem)/問題を探し続ける解決策

というものがあります。先に取り急ぎ(?)製品=解決策を作ってしまったので、それを使ってもらえる顧客を探しにいく、という、いわゆる線形プロダクト開発と言われる事業開発の方式そのものです。

このSISPの大失敗の典型例が、このサイトならびに拙著「新規事業を崩壊させる5つの常識」であらためて悪名高くなってしまった、モトローラの新規事業、イリジウムです。

イリジウムは、アメリカ軍のスターウォーズ計画のために開発された衛星通信の技術を携帯電話に転用した典型的な用途開発でしたが、ローンチから一年に満たない期間で、65億ドルもの借入金をかかえて天文学的な破産申請を行います。理由は、

誰も使わなかったから

です。

このように、用途開発は、必ず技術から出発するため、多くの顧客が大きな課題を抱えていない市場へと参入した場合、

とにかく造れるから造ってみた

製品となり、成功が期待できません。

繰り返し仮説検証することで成長する事業を造っていくリーンスタートアップメソッドが原理的に活用できない、というハンディが、用途開発の成功のハードルをあげているのです。

 

用途開発の具体的なアプローチと、そこに立ちはだかるハードル

用途開発による新規事業開発には、以下の4つのハードルがあります。

用途開発のハードル

用途開発のハードル

ハードル1. 用途開発のための要素技術の「発掘」

用途開発において要素技術の「発掘」は、既存の技術資産を再評価し、新たなビジネスチャンスを見つけるための重要なプロセスです。

要素技術ともいういわゆる技術シーズは、用途開発の鍵となる要素です。要素技術/技術シーズとは、まだ商業化されていないか、すでに別分野で商業化されている技術を指します。

 

要素技術の棚卸しの難しさ:アニメ「シンカリオン」はなぜ画期的なイノベーションなのか?

要素技術の棚卸し(リスト化)は、用途開発において不可欠なステップです。

企業が持つ技術や知識を体系的に整理することは、それを利用した、別市場に対する新規事業開発のそもそもの発端となります。

ただし、このステップは、以下の理由により、いうよりはるかに難しいものです。

  1. 技術部門の協力がなかなか得られない
    私が接した複数の大企業が、技術者の頭の中に放置されている要素技術が「オフィスのそこここに落ちている」状態を嘆いていました。
    これは、科学技術を追いかけるR&D部門の研究員として無理からぬことだと思いますが、研究こそが自分の本業だと認識し、それを社内で利活用することにそこまで関心が向かない、というものです。
    せっかく開発したはいいが、物性や性能などが研究者自らの期待を満たさず、お蔵入り、というケースもあるでしょう。
    この現象の特効薬は、当社(株)StartupScaleup.jpが AIディアソンというアイデア出しソリューションの一環として開発した「要素技術棚卸し生成AIツール」のようなAIエージェントを使って頂くのが一番です。
  2. それが社内ではあまりに当たり前すぎて、要素技術だと気づかない
    私はアニメ「シンカリオン」を知ったとき、これは天才的な発想の用途開発だと思いました。

    新幹線のあの独特のスタイルは、みなさんご存じの通り、空気抵抗を極限まで減らそうとしてできたデザインです。
    ところが「シンカリオン」は、これを鉄道好きの男の子があこがれる「意匠のパテント」としてとらえ、これを変形ロボットにすることでアニメをヒットさせ、さらにはそのファンが親に日本各地を走っているデザインの異なる新幹線への搭乗をねだるという、正の循環を創り出しました。

    要するに、「意匠のパテント」としての新幹線のデザインを要素技術とした、JRにとってははるか飛び地にあるエンタメという市場への進出(用途開発としての新規事業)だったのです。
    Crative Commons LIcenseCrative Commons LIcenseこの問題の特効薬は、当社(株)StartupScaleup.jpがたびたび実施している、生成AIを使用した、企業の強み棚卸です。

ハードル2. その要素技術を使用した新規事業のアイデアを出せ

次に、おそらく最も高いハードルがきます。それは、要素技術を活用した新規事業のアイデア出しです。

なぜ富士フィルムは化粧品の用途開発に成功できたのか?

Crative Commons License

Crative Commons License

要素技術開発とマーケティングを組み合わせることで、技術が再評価でき、用途開発はスムーズに進む

と言われると、思わず納得してしまいますが、この言い方は、ある一つの致命的な欠点を隠しています。

それは、そもそも

マーケティングしようにも、どうやってその、自社にとっては全く新しい「思いもよらない」市場を思いつくのか?

という圧倒的に高い壁です。それが簡単にできたら、みんな苦労はしません。

用途開発の成功事例として有名な富士フイルムは、写真フィルム技術の市場が縮小する中で、その技術を医療や化粧品業界に応用し、新たな価値を生み出しました。

これにより、企業の成長を維持しつつ、新しい市場での競争力を高めることができました。

……さてここで問題です。富士フィルムはなぜ、化粧品業界などという、アナログカメラの写真フィルムの専門家の視点からは一見突拍子もない飛地の異分野を思いつくことができたのでしょうか?

実は、写真フィルムメーカーにとって、化粧品業界への進出は、違和感ゼロの話だったのです。なぜなら、

写真フィルムは、コラーゲンでできていた

からです……。

 

従来のイノベーション戦略はなぜ役立たずか?

従来のイノベーション戦略では、ここで、マーケティングとの連携が重要、という言い方をされてきました。いわく、

技術シーズと市場ニーズを結びつけることで、新しいビジネスモデルの発案や製品の開発が進めやすくなります。

……このような言い方をする人は正直、企業は日々回していかなければならない「本業」を抱えているということを忘れていると思います。

技術部門の情報とマーケティング部門の情報を突合させる。原理的には確かに正しい、でも、それって「骨太の事業アイデア」にたどり着くまで、何人の人間がどれだけの時間を投入する必要があると思いますか?

冒頭で紹介した味の素の成功事例ではなぜまさにこのやり方で成功したかというと、当該部門の危急存亡の秋(とき)だったので、ほかのことには目もくれず、全員で死に物狂いで用途開発の道を模索したからです。

 

新規事業のアイデア出しの方法

いくら棚卸ししても、単にエクセルに技術一覧を並べただけで終わってしまう企業が少なくありません。本当に重要なのは、

その棚卸しした要素技術情報を、以下に新規事業アイデアに結び付けるか?

という思想です。

このアイデア出しの手段として、いくつかの方法が考えられます。

  1. 研究者自身の「用途バイアス」に気づかせる
    研究者や技術者は、その技術が本来どう使われるものかを知りすぎています。だからこそ、「これはこう使うものだ」という思い込みに縛られてしまい、他業界や異分野での可能性に目が向かなくなります。そのバイアスを破壊するワークショップや、強制発想などのトレーニングが必要です。
  2. 業界の外のトレンドを意図的に取りに行く
    日頃は読みもしないような業界誌をめくってみたり、自社技術と一見関係なさそうな展示会に顔を出してみたりするだけでも、驚くほど新しいヒントが得られることがあります。
  3. 社内だけでブレストしない
    用途開発ワークショップを社内で閉じた形でやってしまうと、既存取引先の課題の延長線か、過去の成功体験に引っ張られるアイデアしか出てこないことが多くなります。初期段階では、まったく異なるバックグラウンドを持つ異業種連携セッションの方が、新鮮で自由な発想につながります。

しかし、ここまでの取り組みを全て実行しても、やはり人間には限界があります。

すでに上で指摘した通り、このような地道なやり方は、ある意味でリソースに余裕のある「ヒマ人」向けのやり方ですし(味の素の当該部署は、ヒマ人どころか死ぬ気で働いたはずですが、これだけを集中してやればよかったことに変わりはありません)、また、

このような方法でいくら努力してもよいアイデアが得られる保証は全くない

という、別の、致命的な欠陥も伴います。

そこで私は生成AIの活用に着目しました。ただし、やみくもにAIを使っても、陳腐なアイデアの再生産にしかなりません。ChatGPTなど生成AIに要素技術の情報を入力し、それを転用した事業アイデアを出させる、という取り組みは、今この瞬間もどこかで行われているでしょう。

しかし、プロンプト設計を間違えると、すでに市場に出回っているような月並みなアイデアしか出てきません。これは生成AIが学習しているデータが過去の事例=バイアスに満ちているためです。重要なのは、「人間のバイアスを壊すために、AIをどう使うか」という設計思想です。その設計思想を詰め込み、用途開発に特化したアイデア創出ツールとして生まれたのが、**当社の「AIディアソン」**です。

AIディアソンとは? ▶︎ /ai/

AIディアソンは、要素技術の特徴を咀嚼させたうえで、「想定外の市場」に適用可能なユニークな用途アイデアを生成します。すでに複数の大手メーカー様などに導入され、「目から鱗が落ちた」「開発工数を投じる価値のある提案だった」と高い評価をいただいています。

また、複数の技術をインテグレーションする応用技術に強みがあり、そこから新規事業アイデアを出したいというケースや、複数の要素技術を掛け合わせて新規事業アイデアを生み出すケースにも対応しています。

要素技術が手元にあっても、そこから先へは一歩も踏み出せないとお悩みの企業様へ。まずは、当社の資料をご請求ください。

ハードル3. どの事業アイデアに投資すべきか的確に目利きする

アイデアが出せたとして、次に立ちはだかるハードルは、果たしてどの新規事業アイデアにリソースを投じるか、何を根拠にどうやって決めるのか、という問題です。

当社のAIディアソンが世に出た当時と異なり、最近では、技術から新規事業アイデアをたくさん出す生成AIツールがいくつか出てきています。

その中に、なんとアイデアを1,000も出すというツールもあるのですが、それを聞いたときすぐに

アイデアを並べられたご担当者様、そうとう大変なんじゃないか……

と思いました。

数が多いのはいいのですが、それらを素早く目利きして、最も収益性の高い新規事業にのみリソースをつぎ込むという決断は、数が多いがゆえに、そう簡単ではないのではないでしょうか。

当社(株)StartupScaleup.jpが開発したマジックアイズという生成AIを用いた目利きツールに新規事業の事業企画を入力すると、あっという間に、最も成功確率が高い事業アイデアを選び出せます。詳しくは、当社の資料をご請求ください。

 

ハードル4. 事業化のため、顧客をインタビューする

私がインタビューさせていただいたある事業開発者を兼ねた研究者の方は、

  1. 要素技術の棚卸のための生成AIツールを自分で造った
  2. 自分はアイデアマンなので、アイデアに困ったためしがない
  3. 自分は行動力も兼ね備えているので、どの事業アイデアの事業化を推進すべきかで迷ったこともない

と、素晴らしく頭のよいかたでした。

……で、それでいくつも儲かる新規事業を生み出せたかというと、全くと言っていいほど新製品は事業化されていないそうです。ご本人曰く、

製品完成前の段階でのMTGではぜひほしいといっていたという顧客が、いざプロトタイプを値段付きで持っていくと、ころっということを変える

のだそうです。

これでは、意味がありませんよね?

このような顛末にならないための工夫は、以下の記事から始まる顧客インタビューの記事で取り上げています。

新規事業インタビューで成功を掴むための秘訣

 

成功事例から学ぶ用途開発

もともとはミシンメーカーだったコピー機の雄、ブラザー工業

ブラザー工業は1908年、安井兼吉が名古屋でミシンの修理業として創業したのが始まりです。当時は海外製ミシンが市場を独占していましたが、兄弟たちの協力で部品の内製化や独自開発を進め、1928年に「麦わら帽子製造用環縫ミシン」を完成、商標「BROTHER」を制定しました。

その後、ミシンの国産化と量産化を実現し、戦後は工業用ミシンや家庭用ミシンで国内外に販路を拡大。ミシン製造で培った精密機械技術やモーター制御技術を活かし、1950年代からはタイプライターや編み機、家電など事業を多角化していきます。

1970年代に入り、事務機器市場の成長を見据えてプリンターやファクスなど情報通信機器分野へ本格参入。これが大きな転機となり、現在ではプリンティング&ソリューションズ事業が売上の6割を占めるまでに成長しています。

用途開発の文脈で言えば、ブラザーはミシンで培った要素技術を「精密機器」や「制御技術」というコアに再定義し、時代や市場の変化に合わせて事業ポートフォリオを大胆に変革し続けたことが、プリンター事業の成功につながったと言えます

iRobot の意外な原点

iRobot社は1990年、MIT(マサチューセッツ工科大学)の人工知能研究者らによって設立され、当初は米国防総省向けの軍事用ロボット開発を主力事業としていました。地雷除去や爆弾処理など、危険な任務に使われるロボット(例:PackBot)を開発し、実際に米軍や福島第一原発事故現場でも活躍しています。

ルンバが軍事技術に基づくといわれて納得がいくのは、その高度なセンサーや自律移動技術というよりも、最近までほかのお掃除ロボットがかなわなかった、その頑健さです。iRobotはどうせこのロボットは「部屋のあちこちに当たって砕ける」のがミッションの一部だと最初から思っていました。いや、正確にはそう簡単に砕けたら困るので、軍事ロボットなみに頑健に設計したのです。

軍事技術の民生転用という、「そうきたか」と言える用途開発の代表例です。

 

まとめ:用途開発の未来と今後の展望

現代のビジネス環境において、用途開発による新規事業の発案→その収益化は、重要な意味を持ちます。

当社(株)StartupScaleup.jpでは、この用途開発推進を助けるためのソリューションを多数開発しておりますので、下記から資料請求ください。

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