新規事業の立ち上げを行う際には、事前にさまざまな準備が必要です。
たとえば新規事業を展開するためのプロセスを理解したり、成功に必要な環境作りを行ったりしなければ、
新規事業の成果は得られません。
本記事では新規事業の立ち上げを成功させるためのポイントや、
便利に扱えるフレームワークなどについて解説します。
新規事業の立ち上げが必要な理由
新規事業の立ち上げが必要な理由について、まずは解説します。
既存事業は衰退する可能性がある
既存事業は外的な要因によって、衰退する可能性があります。
そのため特定の事業にだけ依存しているのは、企業にとってリスクが高い状態です。
そこで新規事業の立ち上げ、新しく利益を確保する仕組みを作り出す必要があります。
もし、新規事業の本格的な立ち上げが世間の機運的に必要と思っていても、
真の危機感を抱いていないのであれば、コダックのように倒産の危機が訪れてもおかしくありません。
新規事業を立ち上げるメリット
企業が新規事業を立ち上げるのは、いくつかメリットがあることが理由です。
新規事業の立ち上げによって得られるメリットについて、詳しく解説します。
新しい収益源を確保できる
新規事業の立ち上げは、企業にとって将来的な収益源の確保のために必須です。
既存事業は遅かれ早かれレッドオーシャンになるタイミングが来ます。
そのために、例えば富士フィルムは新規事業に思い切った投資を行いました。
また、新規事業は、軌道に乗れば新たな収益源となるため、
新規事業で得た利益をさらなる投資に活かすなど
成長のサイクルを構築できる点もメリットです。
企業としての可能性に挑戦できる
新規事業を立ち上げた結果、既存事業よりも成功することになる事例も多いです。
新規事業の方が企業の顔となるケースも考えられるため、
新しい可能性を試せるのもメリットとして挙げられます。
たとえばエアウィーヴはもともとはプラスチックの射出成型機を製造していましたが、社長が
と思いついたところから、その方向に事業の舵を切り、大ヒットしました。
新規事業の立ち上げは社員の成長につながる
新規事業の立ち上げを経験することで、社員の成長を促せる点もメリットです。
新規事業に必要なプロセスを体験することで、自分で事業について考える力や、
課題を発見して解決する能力などを身につけられます。
ゆえに、社員を優秀な人材に育てるきっかけになりえます。
気を付けなければならないのは、イノベーションを殺すのは中間管理職といわれているため、
新規事業の立ち上げ時には経営陣・上長がリスクを負うことがとても重要になります。
新規事業の立ち上げに必要なプロセス
新規事業の立ち上げは流れに沿って行わなければならないため、
新規事業の立ち上げに必要なプロセスについて、詳しく解説します。
新規事業の立ち上げに利用できる資源を確認する
新規事業の立ち上げに活用できる、自社の資源を把握しましょう。
たとえば資金・人員・既存事業で得たノウハウなどが、資源としてカウントされます。
既存事業でうまく扱えていない場所・機会なども資源になり、新規事業・事業変換に活用可能です。
顧客が抱える課題や需要を調査する
新規事業の立ち上げを行うには、まずターゲットとなる顧客の課題や需要について調査する必要があります。
自社が得意なことをただ提供すると自己満足で進むため、
顧客が求めるところから離れて成功から遠のくケースが多いです。
そのため自社のやりたいことではなく、
課題解決や需要を満たせる事業を発見することが新規事業の立ち上げにおいて重要になります。
具体的な新規事業の立ち上げ計画を考案する
顧客の課題や需要に応えられる計画を、具体的に考案しましょう。
どんな課題解決を目指すのか、どのようなプロダクトを提供するのかを決めます。
また新規事業における理念や将来のビジョンも形にして、チームで共有することも重要です。
立ち上げ計画をしっかり考えることで、今後の戦略・顧客へのアプローチなど方向性が明らかになります。
新規事業の立ち上げに必要な環境を整備する
新規事業の立ち上げに必要な資金・人員・情報を明確にして、必要な環境を整えましょう。
具体的には、以下3点から環境整備を行います。
- 新規事業を進めるために必要な設備の導入費や人件費を計算して、コストを明確にする
- 新規事業に必要な役割を設定し、それに合わせて人員を配置してチーム作りを行う
- 新規事業に必要な情報やノウハウを明確に、自社にないものは外注することも検討する
具体的な行動と改善のサイクルを構築する
実際に新規事業の立ち上げを行うことを想定し、具体的な行動計画を立てます。
原則やることは一つだけで、300回顧客のところへ行くのみです。
プロモーションをかけるのは愚策中の愚策の一つであり、最もやってはならない資金の無駄遣いといえます。
Yコンビネーターによると、
ということです。
すべてのビジネスプランは、最初の顧客との接触で葬り去られると知りましょう。
新規事業の立ち上げを成功させるポイント
新規事業の立ち上げを成功させるために必要なポイントについて、詳しく解説します。
適切なタイミングで新規事業を立ち上げる
新規事業の立ち上げは、会社の成長フェーズによって最適かどうかが決まります。
既存事業が安定しはじめる「成長期」や、会社としての立ち位置が決まる「成熟期」などは、
資金も人材も豊富なため新規事業をはじめやすいです。
逆に既存事業が飽きられてしまう「衰退期」では、
新規事業をはじめる余力がなくなり、手遅れになることも考えられます。
「市場性」と「事業性」を明確にする
市場性とは、参入する市場の成長性やリスク、特徴や今後期待される需要などの情報を指します。
事業性とは、顧客の特徴や需要、関係性を構築する方法やボリュームなどの情報です。
この両方をリサーチして明確にしておくことで、成功する可能性の高い新規事業を立ち上げられます。
既存事業のノウハウを活かせる新規事業を立ち上げる
新規事業を立ち上げる際には、既存事業のノウハウを活かせる関係性の深い事業に着手するのも重要です。
既に社内に蓄積されているノウハウや社員の経験を活かせる事業であれば、
スムーズに新規事業を展開できます。
一方で同じ業界・業種で新規事業を立ち上げると、
その業界が衰退した際のリスクが大きくなるため注意が必要です。
新規事業の立ち上げ時に便利なフレームワーク
新規事業の立ち上げ時に便利なフレームワークについて、詳しく解説します。
3C分析
3C分析とは、
Customer(顧客・市場)・Company(自社)・Competitor(競合他社)
の3つそれぞれの視点から、顧客・市場規模・自社と他社の強みや弱みを整理するフレームワークです。
ですが、「3Cを使う=ライバルがいる=陳腐事業である」と判断できるため、
この3C分析を行いたくなったら、ランチェスター戦略に反していると肝に銘じるべきです。
SWOT分析
SWOT分析は、
Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)
によって構成される、企業・事業計画などの現状を分析するフレームワークです。
外部要因と内部要因をそれぞれプラス・マイナス面で分類し、課題の発見や解決法の考案を行います。
VRIO分析
VRIO分析は、
Value(価値)・Rarity(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)
を意味するフレームワークです。
4つの視点から自社を分析することで、競合に対する優位性を明確にして具体的な計画を立てられます。
MVV
MVVは、
Mission(ミッション)・Vision(ビジョン)・Value(バリュー)
を表すフレームワークで、新規事業の理念や目標を明確にする際に利用されます。
「イノベーションを起こさなきゃいけない」ではなく、
「ビジョンを達成するためにイノベーションを起こさざるを得ない」とする考えです。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップを作るのは、
自分の属するインダストリーの競合他社がまだ手掛けていない「新奇事業」を起ち上げるためです。
その背後にあるのは、
というランチェスター戦略です。
Yコンビネーターは「競合他社に馬鹿だと思われたら有利だ」と考えます。
逆に最もスケールしにくいのは、
他者の成功事例の顰(ひそみ)に倣うという安易な選択をした場合でしょう。
新規事業の立ち上げ時に注意すべきこと
新規事業の立ち上げ時に注意すべきポイントについて、詳しく解説します。
新規事業の立ち上げ時は人員を最小限に抑える
新規事業の立ち上げを行う際には、チームに採用する人員を2ピザチームとしましょう。
チームの人数が多すぎると作業が複雑化し、スピードが失われる可能性があります。
新規事業の立ち上げは素早く行動することが重要になるため、無駄に人を増やさないように注意しましょう。
撤退の可能性も視野に入れておく
新規事業の立ち上げ時には、前もって撤退の可能性も考慮しておくことが重要です。
この撤退基準は、「何度ピボットできるか?」という視点で造ります。
間違ってもSKIP/スキップの柳井さんのように、
撤退基準は設けたものの何十億もすってしまったという愚行は絶対に避けましょう。
まとめ
本記事では、新規事業の立ち上げが必要な理由・必要なプロセスなどを解説しました。
新しい収益源を確保でき、優秀な社員の育成につながる新規事業は、
成功させるためのプロセスに沿って立ち上げることが重要です。
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