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どんな顧客(ペルソナ)に、どんなジョブを推進してほしいのか?が不明
大戸屋には、健康食というイメージを、私は少なくても、もっていました。(このブログ記事を書いた後に、体調を壊して飛び込んだ外食の店が、実際、まさに大戸屋でした。)
今日来てみたら、メニューの一項目に「ボディメイク」とあり、糖質制限とか高タンパクとか、もはや新規性のかけらもない形容が並んでいます。
本当にちっとも「面白くない」のですよ。エッジがない。
加えて、どんな顧客(ペルソナ)に、どんなジョブを推進してほしいのか、皆目不明。
客層を観察してみると、若い人もいれば、私に似通った世代も、とうの昔に引退した世代もいらっしゃる。
そのうちどれに特化しているのか、どのようなジョブズをこなすセグメントがターゲットなのか、店の主張が不明確で、わからない。
※ここで「ジョブ」というのは、顧客がある目的を果たすための行動パターンのことだと思ってください。詳しくは、この記事「ジョブ理論で、他社を寄せ付けない オンリーワンのプロダクトを開発する」をご覧ください。
……は?ドリンクバー???また、なんで?
アップはしませんが、私のiPhoneに、私がこの店で食べた、生さんまの炭火焼きと、ドリンクバーが同時に写っている店内の写真が入っています。
そのドリンクバーでは、お茶だけでなく、コーヒーはもちろん、糖質満載のソフトドリンクも飲めます。ちなみにWi-Fiも店内にがっつり飛んでます。
……違和感、感じませんか?
高脂質症の私は、秋の旬の味でもあるサンマを食べにきたわけですね。大戸屋ホールディングスの有価証券報告書見ると、「健康」をキーワードにブランドを再定義し、離脱者層を呼び戻すとありますから、私の行動は、大戸屋の狙い通り、これであってますよね?
そのおじさんが、大してうまくもないだろう(失礼)コーヒーのためにドリンクバーとってさらに長居するって、想像できます?その行動、一貫してなくないですか?
長っちりでPCで作業するんなら、近くにドトールもマックもあります。私はドトールのプリペイド愛用しているから、食べ終わったら、店出て躊躇なくそっちいきますよ。
たとえばサイゼリヤなら、私の大好きな高校サッカー漫画「DAYS」に実名で何度か登場している通り、
イメージがありますが、ここは、事情が違う。
しかも、ですよ、ランチ完食後、私がドリンクバーの無料のお茶をくんできて、このレポをiPhoneで書きながら飲んでいたら、店員さんが、「混んできたので、早く回転してください」という示唆的行動をとってくるわけです。
からになったお盆を間髪入れず下げたりとか、お冷をつぎに、2回立て続けに来たりとか。つくづく矛盾してます。してますが、店員さんは悪くない。
経営陣が、
をきっちり仮説検証してないからそうなるのです。
というかたぶん、その辺なーーんも考えずに、
んじゃないでしょうか?Wi-Fiもきっとそうですよね、やよい軒にはWi-Fiないですから。
さて、板挟みの店員さんかわいそうなので、いったん店外出て、わるく……じゃない、もとへ、レポの続き書こうっと。
大戸屋苦境の経緯
……カフェへ移動して書いています。
コロナ前から、大戸屋の苦境は、報じられていました。
理由は、ざっくりいうと、
出典 Sankeibiz
とのことのようです。
これ本当なのかしら?
というのは私の中では少なくても、昔から健康食志向のチェーンだった気がするので。ググってみると、買収したコロワイドのやりたい方向と大塒の経営陣との間でゴタゴタがあったとの報道もありますね。
いずれにせよ、健康志向でリブランドし、事業再生を狙っているようです。
ですがね、であれば、私なら、こうした、
だけは、絶対にしないと思います。
どっちつかずのストーリーは顧客を混乱させ、顧客離れをひき起こすからですよ。
顧客がプロダクト/サービスを経験し始めて、「いったいここで何をすればいいのか??」と戸惑うのはよくない傾向です。
もうレッドオーシャン化している市場で、総花的なサービス、これは豊かな未来が予測しにくいです。
です。
という等式がいつも成立するからです。
自分勝手に考える、大戸屋ファンの考える大戸屋の事業再生
いま、日本の平均年齢は、四十超えています。
であれば、健康志向のリブランド、これはたぶん、市場性ありますよ。
実際に、私が食事していたときに隣に座っていた老夫婦は、健康診断の結果の話をしていました。
私なら、既存のメニューを、
- 高血糖/糖質制限ダイエット中の方はこちらのフード
- 高脂質の方はこちらのフード
- 腹囲は気になるけど、ランチくらいは糖質っぽいものたべたい!人はこちらフード
- 何でもいいから安い定食を!という人はこちらのフード
とカテゴライズして再整理したものを提供する、ドリンクバーをまだ造っていない実験店舗を都心と住宅街近くに1、2店舗ずつ、展開してみますね。
注記:上記のカテゴライジングはMECEでなくてよい
このとき、各店舗の補給線の長さは、なるべく揃え、全部、直営店でやります。他の条件を極力等しくするためです。
そして、データを取りまくります。売上、利益、回転数、どのメニューが売れたか、などなどのKPIを、週単位でトラッキングするのを、ワンシーズン三ヶ月、とりあえず回してみる。
はい、これはMVPです。有償で、しかも、低コストでできる。
ドリンクバーは、敷設と運用にお金も手間もかかるうえ撤廃にもコストがかかり、どう考えてもMVPじゃないわけです。
今の台所事情で、できる、安上がりな検証をする。
かつてワークマンがリブランドのときに立川の同じモールに2店舗同時に出してA/Bテストしましたが、
[出所] 酒井大輔 著, 「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」, 日経BP刊
直営店をフランチャイズ化しているような今の大戸屋には逆さにふってもそんな余裕はないので、とりあえず、既存店舗最大4店舗のメニュー構造だけ、変えてみる。
そうすれば、
価値仮説「本当に健康志向の顧客がいて、店に呼び込めているのか?」
成長仮説「価値仮説が正しかったとき、では、どんな場所にプレミアムマーケットセグメントは存在し、どのメニューをテコ入れすれば売上が伸びるか?」
が、うまくいけば、同時に検証できます。
たぶん、最終的に、ドリンクバー撤廃して、席数を増やすべし、というインサイト出てくる気がします。
そして、どんなメニューが最も利益率高いのか?を、あたりつけることができます。
コンサルファームの事業開発やったことない素人の理屈だけのアドバイスを真に受けて小綺麗だがスケールしっこない競争戦略とやらを鵜呑みし中継に組み込む前に、ミニ実験で顧客に聞いてみましょう。
それが最も確実な事業再生の道だと思います。
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参考文献 | 酒井大輔 著, 「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍れたのか」, 日経BP刊 |