プロダクト/マーケット・フィット(PMF)とは?事業の到達目標「PMF」について解説

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)とは?事業の到達目標「PMF」について解説

2022.09.29

スタートアップや新規事業を開拓したい企業は、

自社のプロダクトが市場に受け入れられているのかを、正確に把握することが重要です。

従来のやり方では、

既存の市場に入ってからある程度の売上を見込む

というやり方が当たり前とされてきましたが、それは定義的に「イノベーション」からは程遠くなり、

営業などかけなくてもどんどん莫大な売り上げを生み出せるような新規事業の創出など

原理的に不可能な状態だとと考えられるでしょう。

本記事では、新規事業開発に携わるすべての人が目指す

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)

について解説します。

 

※ここに目次を入れるとSEOに効果があると言われています。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)とは

プロダクト/マーケット・フィット(Product Market Fit)とは、

「自社の製品やサービスが、特定の市場に受け入れられている状態」のことを意味します。

具体的には

「顧客を満足させることができている状態であり、かつ適切な市場に適合している状態を目指すこと」

がプロダクト/マーケット・フィット(PMF)の基本です。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)とはマーク・アンドリーセンが提唱した考え方であり、

売り込まなくても顧客が殺到し続け、キャッシュフローが勝手に改善され続ける状態で
従業員を「激務にしてくれる状態」

と定義されます。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を達成している状態では、

企業の成長速度が自社を危機に陥れるほど加速します。

そのため、一般的にプロダクト/マーケット・フィット(PMF)を計測するための

  • リテンション(定着率)を保てているのか
  • カスタマー獲得から売り上げを獲得するまでのプロセスが構築できているか
  • リーンキャンバスによって可視化したビジネスモデルを実現できているか

といったKPIを顧みる余裕など全くない殺人的な状態になるのが通常です。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)しているかの判断

エリック・リース氏と、YコンビネーターCEOマイケル・サイベル氏が異口同音に言う通り、

「自社はプロダクト/マーケット・フィット(PMF)しているのか?」と疑問に思う時点で
それを達成できていないのは明らか

なのです。

つまり、プロダクト/マーケット・フィット(PMF)達成の判断基準とは、

自社がProduct/Market Fitに達したかどうか、よく分からない状態から、
新規事業開発担当者(スタートアップの社員)全員が脱却しているかどうか

といえます。

万人が合意できる状況を実現しなければ、

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)の達成には至らないのです。

先にも解説した通り、プロダクト/マーケット・フィット(PMF)の達成中は

顧客が殺到し続けるため余裕がなく、KPIを計測して分析をする暇などもありません。

そのため「プロダクト/マーケット・フィット(PMF)しているか」判断しようとしている時点で、

まだその成果を得るほど達成できていないと言えるでしょう。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)は至難の業

スタートアップのうち、

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を達成できるのは1%を切る

と言われています。

これは買収によるエグジットを達成したり、

売上10億円規模でIPOを行ったりするよりもはるかに難しい確率です。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)の要素

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)には、さまざまな要素が含まれています。

どのような要素によって構成されているのかを、以下で解説します。

市場性

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)における「市場性」とは、

その製品に需要がどれくらいあるのかといった指標を意味します。

そもそも市場性がなければビジネスとして成立しないため、

多くの人がほしがるものを想定して製品・サービスを展開することが重要です。

市場性を検証する一般的な手法に、MVP開発と呼ばれるものがあります。

これは新規事業を少しずつ変えながら、低コストかつ短期間で検証しつつ、

製品・サービスを漸進的に開発していくプロセスのことです。

最小限のコストで市場性や製品価値を検証できるため、多くのシーンで活用されています。

事業継続性

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)において重要な要素となるのが、

事業継続性

です。

事業継続性とは、その事業が将来的に長期に黒字を出しながら継続可能かという点を測る指標を意味します。

基本的には上記の市場性を達成した上で、事業継続性を確立させます。

1つ事例を挙げると、ビジョンファンドの投資先として非常に大きな損を出したWeWorkは、

この事業継続性が最初から保証されないモデルだったことが分かっています。

WeWorkはそれを使用する人間が集中しているエリアで営業しているうちは、

スペースを高回転させることができたため高い利益を保持できました。

しかし、事業がスケールし郊外へ店舗を拡張していくにつれ、

その集積性が薄れて利益はどんどん下降していく結果になったのです。

WeWorkのように、事業が拡大すればするほど利幅が減っていく状態では、

事業継続性を長期には達成できません。

適応性

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)における適応性とは、

将来的に製品や事業そのものが特定の市場に適応できるかといった指標のことです。

「事業の未来がどうなるのかを見据えること」

が適応性だとされることが多い一方で、

目下の資金獲得や収益が見込まれない結果、事業が失敗に終わるケースもあります。

つまり、自社製品や事業内容が市場に適応するまでの期間が長すぎると、

想定していた未来にたどり着くまでに資金が枯渇してしまい失敗に終わる可能性が高まるのです。

実現性

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)の実現性は、

上記の解説した市場性、事業継続性、適応性の3要素が満たされていて、

はじめて考慮が必要になる要素です。

仮にプロダクトの製造が可能で、かつ実用性のある状態で販売できる状態でも、

上記の3項目を満たせていなければ、そもそも需要がない可能性があるからです。

ユーザーにとって需要のない製品になっていると、どれだけ実用性が高くても、売れないでしょう。

そういったビジネス上の課題をクリアするためにも、

先に挙げた市場性、事業継続性、適応性を満たした上で実用性を考慮する順番が重要です。

プロブレムソリューションフィット(PSF)とは?

プロブレムソリューションフィット(Problem Solution Fit)

とは、顧客が抱えている課題を発見して解決する方法を準備することを意味します。

プロブレムソリューションフィット(PSF)は、

「プロダクト/マーケット・フィット(PMF)の状態に入るために欠かせないプロセス」

として認識されています。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を目指すには、

まず自社をプロブレムソリューションフィット(PSF)の状態に持っていく必要があるため、

その意味や必要性を正確に把握しておくのがポイントです。

プロブレムソリューションフィット(PSF)に必要なステップ

プロブレムソリューションフィット(PSF)を達成してその状態を維持するには、

以下のステップを実施するのがポイントです。

  1. プロダクトが解決するべき顧客の問題・課題を発見する
  2. 解決策の考案および提案を行う
  3. 協力者(実際にその問題・課題に悩んでいる人)の確保を行う
  4. 購入につながるチャネルを把握する

上記の流れが、プロブレムソリューションフィット(PSF)を達成するために必要なステップです。

これらのステップを事前にクリアした上で、

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)につなげるのがポイントになります。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を考える上で重要なポイント

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)について考える際には、いくつか重要なポイントがあります。

MVPを実施する

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を考える際には、「MVP」の実施が必要です。

MVPとは「Minimum Viable Product」の略称で、いきなり開発に移行せずに、

まず必要最小限の機能を備えたプロダクトのイメージを提示する方法を指します。

例えばあるハードウェアプロダクトに実用性があるのか、

実際に売れるのかを検証するために、最小限の機能だけ搭載したプロダクトをユーザーに使用してもらいます

ここでいきなり細かな部分にまでこだわった完成度の高い製品を作成してしまうと、

失敗した際に企業の財務にダメージを与えるリスクが高くなるため、

あくまで「最小限」で検証するのがMVPの本質です。

MVP開発はプロダクトそのものではなく、事業を検証する「プロセス」を指す

点にも注意が必要です。

最小限必要な形のみで整えたプロトタイプを短期間で製作し、

実際にユーザーに使用してもらうまでの流れ全体を指すため、

プロダクトの完成だけが目的ではありません。

最終的には使用したユーザーのフィードバックを参考にプロダクトの改善を繰り返し、

正規品としての完成を目指すのが目標です。

最小限のコストと時間で価値検証を行う

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を考える際には、

資金、時間、人材を可能な限りつぎ込むことは避けるべきです。

まずは最小限のコストと時間で価値検証を行えるように準備をすることが、重要なポイントになります。

そこで重要となるのが、先に解説したMVPのプロセスです。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を目指す上では、

市場性や事業継続性、実現性をまずは検証する必要があるため、

その3つの要素を確認できるMVPの実施が重要視されます。

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)を達成するために営業力は必要ない

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)達成のために、営業力強化は全く必要ないと考えられます。

そもそもプロダクト/マーケット・フィット(PMF)を達成できている状態とは、

営業をしなくとも顧客が殺到していることが前提です。

そのため営業力の強化を必要とするような製品は、

プロダクト/マーケット・フィット(PMF)に達しない可能性が高いわけです。

また、プロダクト/マーケット・フィット(PMF)達成まで、

定款を抜本的に書き換えられる余地を必ず残しておくことも重要なポイントです。

まとめ

事業目標となるプロダクト/マーケット・フィット(PMF)は、企業にとって重要な指標となります。

その基本的な意味や構成要素を理解していなければ、事業の成功は困難となるでしょう。

この機会にスタートアップ経営者は、目指すべきプロダクト/マーケット・フィット(PMF)の形を把握し、

事業プロセスに取り入れてみることがおすすめです。

 

弊社「startupscaleup.jp」では、スタートアップ企業から大企業まで、幅広く新規事業開拓の支援を行っています。事業の拡大や再構築に関する調査の他、事業開発における研究、情報提供、普及活動などもサポートしている実績があります。

startupscaleup.jpでは事業の拡大、再構築に関する調査・支援や、事業開発に関する調査・研究・情報提供・普及活動などを行います。また、イントラプレナーとして8度の起業経験を生かしたコンサルティングが提供可能です。

この機会にぜひ1度、新規事業のこれからについてstartupscaleup.jpにご相談ください。

お問い合わせはこちら

コメントを書く

送信いただいたコメントは承認後、表示されます。

CAPTCHA