新規事業開発の仮説検証:インタビュー調査の実践ガイド:2026年最新版

新規事業インタビュー

新規事業開発の仮説検証:インタビュー調査の実践ガイド:2026年最新版

仮説検証は、新規事業開発に欠かせないプロセスの一つです。従来このプロセスは、特に日本においては、

事業アイデアが市場で受け入れられるかどうかを確認するため、仮説を立て、その仮説を実際に顧客にぶつけて試し、結果を分析するサイクル

とされてきた傾向が強かったと思います。しかしこれは、特に現代のアメリカ西海岸においては端的に間違いとされています。実際、私が何度も事業開発に取り組んできた過去を振り返っても、このような仮説検証の考え方では、リスクを減らすことは確かにできるものの、成功への道筋を明確にすることは不可能です。

仮説検証において実際に行うべきは、事業に関する仮説を仮説のまま、すなわちその仮説が正しいことを前提とした開発を開始する前段階で、市場に出て検証することで、最も売れ筋と思えるアイデアを、顧客の生の声からインサイトを得て「再発明」することです。すなわち、最初の仮説にダメ出しを食らった「後」が勝負なのであって、自分の仮説が正しい前提で、その詳細を修正するために市場に出るというマインドセットでは、事業が最も成長する方向性を見定めることができないのです。

仮説検証は机上検討にとどまらず、実際に現場に出て(”Get out of the building!”)行動を起こし、顧客からのフィードバックを直接えるプロセスです。そこでは、新規事業開発の各フェーズにおいて、最も適切な方法を確実に選び取ることが常に要求されるのです。例えば、あまりに早い段階でValidation Interview/ソリューションインタビューで事業コンセプトに対する顧客の声を集めてしまうと、確証バイアスの罠に陥り、仮説検証を通じて得た知見が新規事業開発の足を引っ張る結果をもたらします。適切な手段を選び取ることで初めて、仮説検証から得られる知見は、新しい事業企画の発案―>プロダクトの仕様の洗練という形で、顧客の期待に応える製品やサービスを提供するための基盤となりえるのです。

 仮説検証とは?その定義と重要性

仮説検証とは、「この事業アイデアは誰の・どんな未解決の課題を解くのか」という仮説を、実際の顧客行動や発言によって確かめるプロセスです。

新規事業では、仮説が外れていること自体は問題ではありません。検証せずに進むことが最大のリスクです。仮説検証がろくにすんでいないビジネスプランをいくつ事業化したところで、赤字がかさむだけだということは火を見るより明らかです。仮説検証を通じて、おおもとの事業アイデアの方向修正(ピボット)を早期に行い、事業コンセプトのディテールの修正(イテレーション)を繰り返し素早く行うことで、無駄な開発・投資を防き、将来の収益を最大化しましょう。

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仮説検証の基本概念

新規事業における仮説は、多くの場合「市場規模」や「機能」ではなく、顧客の行動仮説(いわゆるジョブ jobs to be doneです。
例:なぜ現状のやり方を続けているのか?
どの瞬間に不満を感じ、何で代替しているのか?

これらは机上調査/デスクトップリサーチだけでは決してわかりません。インタビューや観察によってのみ検証できます。

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新規事業における仮説検証の役割

仮説検証は、「正解を正解だと証明すること」ではありません。その真の役割は、間違いを一刻も早く、正確に特定することです。仮説が外れた場合でも、その結果は次の仮説を立てるための非常に有益な一次情報、エビデンスとなります。新規事業では、この学習速度、すなわち「いかに効率的に、七転び八起きの挫折をして、最も売れ筋の仮説にたどり着くか?」が、競争優位になります。新規事業開発において最も貴重なリソースは、いつだって時間なのです。

 

聞き取り調査のステップ:仮説を立証するために

聞き取り調査(インタビューやビジネスエスノグラフィ)は、仮説検証の中核です。重要なのは「仮説に関する質問を並べて網羅的に聞いていくこと」ではなく、市場の構造を理解するためのヒントをいかに効率的に得ていくか、そのためにはターゲットのステークホルダー(必ずしも顧客=購入者とは限らない)にまつわるどんな仮説を自分たちは想定しているかをチーム内で合意し、それに関する本音をどう聞き出していくのか?を考えていくのです。

インタビューの準備と計画

準備段階でやるべきことは3つです。

  1. 検証したい仮説を1〜2個に絞る
  2. その仮説が間違っていたら、事業が成立しない前提を明示する
  3. 対象者を「その行動を最近とった人」に限定する

この準備が甘いと、どれだけ話を聞いても意思決定に使えません。

効果的な質問の作り方

良い質問は「意見」ではなく「(前回の)行動」を聞きます。

  • × このサービスどう思いますか
  • ○ 前回いつ、どうやって、何に困りましたか

仮説検証では、評価・感想・将来の期待はノイズになりやすく、過去、しかも最も直近の具体的な行動だけが信頼できます。

 

聞き取り調査の手法の種類と選び方

事業開発のフェーズ、仮説の種類によって、使うインタビュー手法は変えるべきです。すべてをユーザーインタビューだけで済ませようとすると、仮説の解像度が上がらないところか、バイアスの罠にはまり込んで、自ら事業の失敗を導きかねません。

世界初:聞き取り調査(顧客ヒアリング/インタビュー)の体系化

まずは、おそらく世界初となる、特に新規事業開発に関連する、この種の顧客の意向を聞き取る調査活動の体系化(カテゴライズと定義)を行います。私は顧客インタビューを類型で少なくても1,300回は繰り返した事業開発者であり、その知識と経験を体系化して、「標記貴出願 特願2025-165649 「情報処理装置、及びプログラム」」という特許を出願していますが(2026年1月時点で審査中)、その特許に書かれているメソッドは、この体系に基づいています。

カテゴリ サブカテゴリ 実行フェーズ 実行すること
1. Expert Interview/エキスパートインタビュー 顧客発見初期 市場/技術のエキスパートに、

市場の概要や技術の用途を確認

Discovery Interview 2. Business Ethnography/ビジネスエスノグラフィ 顧客発見初期 顧客と同じことをやってみる

顧客の行動を観察

3. JTBD Interview (Jobs To Be Done)/ジョブインタビュー 顧客発見初期 顧客の「前回とった行動」および、その行動の意図を聞き取る
4. Problem Interview/問題インタビュー 顧客発見初期 JTBD実行時、顧客の行動の「盛って回ったところ」「第三者から見て(も)『かったるい』ところ」の問題点を同定
5. Validation Interview/ソリューションインタビュー 顧客発見初期
~PMF
製品(企画)に関する、感想を訊く
6. Usability Testing/ユーザインタビュー MVPローンチ後 製品の使い勝手を聞く

マジックミラー越しに使うところを観察

7. Exploratory Interview/マーケ目的の聞き取り調査 顧客創出以降 製品の魅力を誰にどう訴求すべきか?を確かめるインタビュー

※このほかにも、例えばフォーカスグループインタビューといった手法もありますが、カテゴライズの基準、次元が異なるため、わざと記入していません。

エキスパートインタビューの活用

エキスパートインタビューは「市場が存在するか」「業界構造に制約があるか」を、初期に、ばくっと把握するために使います。顧客ニーズの検証には不向きですが、前提条件の誤りを早期に潰すのに有効です。

【関連記事】ビジネスにおける「顧客の声」をどう聞くべきか?エキスパートインタビューの功罪

ビジネスエスノグラフィの実践

顧客が言語化していない/できない課題は、観察でしか見えません。実際の業務・利用環境を観察することで、回避行動・無意識の工夫・形骸化した、実際は無意味な行動パターン・代替手段が(仕方なく)用いられている理由が浮かび上がります。これが最も有用な、新規事業の「シン事業アイデア」のもとになります。

ジョブインタビューで「潜在ニーズ」をつかみ取る

このサイトでは、「ニーズ」、特に「潜在ニーズ」という、一意に定義を特定することが不可能で、したがって、再現性をもって誰にでも掘り起こすことが科学的には不可能な概念を、低く評価しています。実務で使えないからです。

【関連記事】事業開発に必須:「潜在ニーズ」を見つけ出す顧客インタビュー

だって、「ニーズを掘り起こ」すためには何をやればいいのか、具体的にはさっぱりわからないじゃないですか?ジョブインタビューでは、「ニーズを掘り起こ」そうとするのではなく、「(前回)なぜその選択をしたか」を時系列で追うことで、ターゲット(インタビューイ)の行動パターンを把握し、淡々とジョブマップに描写していきます。そのジョブマップの中に、あなたの製品がドラスティックな行動変容を起こすことができる、トリガーポイントのようなもの(切り替えと呼ばれます)が含まれているのです。

【ジョブマップについての関連記事】AKB48の大ヒットに学ぶ、顧客のペイン/困りごとなしで大ヒットサービスを造る方法

 

インタビュー結果をビジネスプランに活かす

インタビューは「実施」ではなく「反映」して初めて意味があります。

データの分析方法と仮説の修正

分析では以下を確認します。

  • 仮説を支持する発言が、誰から・何回出たか
  • 反証となる行動はないか
  • 仮説が崩れた場合、どこまで戻って、何を修正すべきか

仮説が外れた場合は、機能追加ではなく前提の置き換えを検討します。分析結果をもって、ビジネスプランを1から書き換えるべきか、フィーチャーリストのような、製品仕様を書き換えるかを決めます。

リーンスタートアップとアジャイルの違い/ピボットとイテレーションの違い

上に書いた通り、仮説検証を通じて、おおもとの事業アイデアの方向修正(ピボット)を早期に行ったり、事業コンセプトのディテールの修正(イテレーション)を繰り返し素早く行ったりすることで、無駄を省きます。これはそのまま、リーンスタートアップとアジャイルに対応しています。よく両者を混同している方がいらっしゃるのですが、両者は全く別の次元に属する概念です。なぜならば、アジャイルで開発したプロダクトが、お客様に全く受け入れられないことは、ままあるからです。

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成功事例から学ぶ:効果的な仮説検証のケーススタディ

成功事例の本質は「正しい答えを得る」ことにはなく、「どの仮説を、どの順で捨てたか」にあります。

成功した新規事業のインタビュー例

成功事例では、多くの場合、最初の仮説は否定されています。共通点は、顧客行動を軸に検証していたことと、挫折したときの意思決定が速かったことです。

失敗から学ぶ:改善すべきポイント

失敗事例では、

  • 仮説が曖昧
  • インタビュー対象が不適切
  • 結果を都合よく解釈(フォルスポジティブ)

といった、共通した問題が見られます。仮説検証は「自分の正しさを証明する作業」ではあないのです。

仮説検証スキルの向上のための方法

仮説検証は才能ではなく、スキルです。したがってそれは、日々の業務や日常生活の中で意識的にトレーニングすることで、着実に鍛えることができます。

日々のトレーニングと実践

あなたがマネージャーなり、リーダーなりであるのなら、部下やメンバーとのOne on oneの場は、仮説検証のためのインタビュースキルの格好の場です。予め部下やメンバーの考えていそうなことに関して仮説を立てておいて、虚心坦懐に相手の言うことを聞くことで、上に書いたやり方の仮説検証スキルはみるみるうちに上がっていくでしょう。もちろん、相手が既存顧客であっても、あるいは家族であっても、同様なことができるはずです。私など、顧客インタビューがうまくなったきっかけは、嫁に「あなたは人の話を全く聞かない」とたしなめられたことでした。

キャリアアップにつなげるために知っておきたいこと

上仮説検証ができる人材は、

  • 新規事業
  • 事業再生
  • プロダクトマネジメント

のいずれでも価値があります。重要なのは「当てる力」ではなく、「外したときに学習して方向修正できる力」です。

 

仮説検証のスキルアップを、具体的な事業成果へと結びつけたいとお考えなら、ぜひ一度お問い合わせください。

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