生成AIをフル活用して新規事業の立ち上げを成功させるには?必要なプロセスやフレームワークについて解説

生成AIをフル活用して新規事業の立ち上げを成功させるには?必要なプロセスやフレームワークについて解説

新規事業の立ち上げを行う際には、事前にさまざまな準備が必要です。

たとえば新規事業を展開するためのプロセスを理解したり、成功に必要な環境作りを行ったりしなければ、新規事業の成果は得られません。そして、今や、この一連のプロセスに、生成AIをさまざまな局面で投入することができない限り、スピード勝負の事業開発に成功することはおぼつかない、と言っても過言ではないでしょう。

本記事では、この生成AI時代に、新規事業の立ち上げを成功させるためのポイントや、便利に扱えるフレームワークなどについて解説します。

新規事業の立ち上げが必要な理由

新規事業の立ち上げが必要な理由について、まずは解説します。

既存事業は衰退する可能性がある

既存事業は、たとえ自社が一生懸命努力していても、必ずいつかは衰退してきます(これをプロダクトライフサイクルと言います)。また、特に最近は、AIが、ほとんど全ての産業を急速にかつ根本的に変える可能性があるため、現業は少なくても「当面の間は」そのまま維持されるだろうという、優秀な企業ほど抱えがちな

現状維持バイアス

は、茹でガエル状態を生み出す とても危険な考え方です。

そのため特定の事業にだけ依存しているのは、企業にとってリスクが高い状態です。そこで、あたかも新陳代謝のように、新規事業を起ち上げ、新しく利益を確保する仕組みを作り出す必要があります。

製造業なのに50%を超える高利益を確保しているキーエンスなどは、

高収益な既存事業(いわゆるキャッシュカウ)に執着心を持たず、常に新規事業ばかり生み出し続けている(異常な)企業

とすら呼べなくはないのです。

もし、新規事業の本格的な立ち上げが世間の機運的に必要と思っていても、真の危機感を抱いていないのであれば、現状維持バイアスの犠牲となった

コダック

のように倒産の危機が訪れてもおかしくありません。

コダックに関しては、ここに注目すべき事実があります、なんと、

世界初のデジタルカメラのプロトタイプの研究開発に成功したのは、コダックだった

のです。しかし強烈な現状維持バイアスが、その当時の時点での

デジカメの品質がフィルムカメラに追いつくにははるか先の話だ

という経営陣の希望的観測を生み出し、せっかくの画期的な発明の芽を、自らの手で窒息させてしまうことになったのです。

この、自社では気付きにくい現状維持バイアスを未然に防ぐためには、この記事で紹介する、

生成AIを用いた未来予測

がおすすめです。

新規事業を立ち上げるメリット

企業が新規事業を立ち上げることにはいくつかのメリットがあります。新規事業の起ち上げによって得られるメリットについて、詳しく解説します。

新しい収益源を確保できる

新規事業の立ち上げは、企業にとって将来的な収益源の確保のために必須です。既存事業は、上に書いたとおり、レッドオーシャンに突入するタイミングが遅かれ早かれ訪れます。

そのために、例えば

富士フィルム

は、

アナログカメラの銀塩フィルム市場の「突然の蒸発」

という危急存亡の時に、古森社長自らが陣頭指揮を取り、化粧品「アスタリフト」などの新規事業に思い切った投資を行いました。

古森 重隆 著, 「魂の経営」, 東洋経済新報社刊参照

また、新規事業は、軌道に乗れば新たな収益源となるため、ちょうどキーエンスが常時そうしている通り、

新規事業で得た利益をさらなる投資に活かしていける

という、成長のサイクルを構築できる点もメリットです。

企業としての可能性に挑戦できる

新規事業を立ち上げた結果、既存事業よりも成功することになる事例もあります。新規事業の方が企業の顔となるケースも考えられるため、新しい可能性を試せるのです。

たとえばエアウィーヴはもともとは

プラスチックの射出成型機

を製造していた中小企業でしたが、社長が

自分の肩こりを直すためには、自社製品の打ち出すプラスチックをマットレスに詰めたらいいのでは?

と思いついたところから、その方向に思い切って事業の舵を切り、大ヒットしました(これを新規事業開発の専門用語で「ピボット」と言いますね)。

山田英夫・手嶋友希 著, 「本業転換――既存事業に縛られた会社に未来はあるか」, KADOKAWA刊 参照

当社の開発した、要素技術から事業アイデアを発案する生成AIツール

のように、自社の強みを深く吟味して、その強みから意外な、全く新しい事業アイデア(ピボット先)を見つける、という生成AIの使い方もお奨めです。

新規事業の立ち上げは社員の成長につながる

新規事業の立ち上げを経験することで、やる気のある社員の成長を強烈に促せる点もメリットです。

リスクが伴わない新規事業開発などありえず、開発は問題解決の連続です。いわゆる『サラリーマン』には、まず向いていない活動と言っていいでしょう。ゆえに、新規事業に必要なプロセスを体験することで、自分で事業について深く考える力や、課題を発見して解決する能力などを身につけられ、将来は経営幹部になりうる優秀な人材に育つ きっかけになりえます。

ドラッカーをはじめ、イノベーションを語る多くの知識人が、

既存企業のイノベーションを生かすも殺すも中間管理職次第

と厳しく指摘しています。新規事業の立ち上げ時には、経営陣・上長がリスクを負い、自分が成否の責任を負うから、部下には自由にやるように、という態度を示すことが極めて重要です。皮肉なことに、なまじ既存事業で出世した人物を新規事業開発の部門のトップに据えることは、多くの場合、イノベーションの種を企業自ら潰す結果に終わることになるのが、組織を設計する際に経営者が注意したい点です。

万が一、上長が

もっと『スジのいい』アイデアをもってこい!

などと、『スジのよさって、いったい何???』と定義が曖昧な言葉を振り回すタイプなら、私なら、自社開発の生成AIサービス

戦略ストーリーメーカー

で、中期経営計画と具体的な事業アイデアの歩み寄れるポイントを探す

戦略ストーリー

を発案します。

新規事業の立ち上げに必要なプロセス

新規事業の立ち上げは流れに沿って行わなければなりません。新規事業の立ち上げに必要なプロセスについて、詳しく解説します。

新規事業の立ち上げに利用できる資源を確認する

新規事業の立ち上げに活用できる、自社の資源を把握しましょう。たとえば資金・人員・既存事業で得たノウハウなどが、資源としてカウントされます。既存事業でうまく扱えていない場所・機会なども資源になり、新規事業・事業変換に活用可能です。

資源を把握しましょう

なんてさらっと書きましたが、これが社内にいると実はかなり難しいんですよね……。自社の強みは、意外と外から見ないとわかりにくいものです。

そんなときは、生成AIに壁打ち相手を務めさせ、

VRIO分析

をさせるとよいでしょう。VRIO分析については下記で取り上げます。

顧客が抱える課題や需要を調査する

新規事業の立ち上げを行うには、まずターゲットとなる顧客の課題について聞き込み調査する必要があります。

自社が得意なことをただ提供すると自己満足で進むため、顧客が求めるところから離れて成功から遠のくことが多くなります。

その逆に、いくら需要がありそうだからといって、自分たちが開発に夢中でのめりこめない事業を開発すべきでもありません。

つまり、

自分たちがやりたいことで、かつ充分に多数の顧客の深刻な課題を解決する事業を発見する

ことが、新規事業の立ち上げにおいて重要になります。

新規事業の立ち上げに必要な環境を整備する

次は、ガバナンスという、新規事業にとってはとても厄介な概念が導入されてしまった既存企業においては、どうしても事業計画立案ということになってしまいます。

事業計画では、以下3点から事業を開発する環境を整備する意味で、プランニングを行います:

  1. 新規事業を進めるために人件費を計算して、事業開発の「初動」に必要なコストを明確にする
  2. 新規事業に必要な役割を設定し、それに合わせて人員を配置してチーム作りを行う
  3. 顧客に対して聞き取り調査を行う計画を立てる

この際、絶対的なNG行為は、サービスを世に出すまでを、一から十までカバーした、乾坤一擲かつ気宇壮大な事業計画を社内で承認させようとすることです。この「事業が世に出て売れるところまでをビジネスケースに起こす」行為は、濱口秀司氏の指摘する、

背任行為

をしでかす確率を飛躍的に高めます。

そのアイデアがイノベーティブであればあるほど、既存の事例や経験は参考にならない。究極的には、えいや!とその製品・サービスを市場に投入してみて、「結果は神頼み」ということが多い。つまり、「市場を実験場にしている」のである。しかし、商品・サービスを研ぎ澄まさないまま提供することは、顧客に対しても自社にとっても背任行為である。
(出典:濱口秀司 著, 「SHIFT:イノベーションの作法」, ダイヤモンド社刊)

濱口氏は、この背任行為を防ぐべく、最初の100個を売り切るまでの、本格的な事業開発の「前哨戦」のところまでを計画せよ、という意味の指摘しています。この「前哨戦」の計画までなら、莫大な額の予算なしにプロトタイプを作り、顧客にたいして検証することができるだろう、と氏はおっしゃるのです。氏はこの、いわゆるMVPを、

β100

と名づけています。私なら、この種のMVPは、古今東西の50種類以上のMVPのパターンを網羅させた

MVPデザイナー

と名付けた自社製品の生成AIサービスに発案させます。

顧客相手の検証サイクルを確立する

最初の顧客との接触で葬り去られないビジネスプランはない

といみじくも指摘したのが、リーンスタートアップ運動を事実上創始した、西海岸のスタートアップ業界のグールー、スティーブ・ブランク氏です(この名言については、この記事「新規事業のビジネスプランを承認するのは誰だ?」参照)。この言葉の意味を肌感覚で理解するには、イリジウムの大失敗について詳しく書いたこの記事を参考にしてください。

私が新しい事業のアイデアを思いついたときにまず第一に実施するのは、事業アイデアのあら探しです。これもブランク氏が指摘していることなのですが、

多く新規事業が、顧客が、事業計画時点で全く想定外だった行動をとった結果、失敗

しています。弊社で開発した生成AIサービス

マジックアイズ(「目利き」を意味する英語表現)

は、事業アイデアを打ち込みさえすれば、自動的に、自分が想定していなかったびっくりするような顧客の行動をずらりとリストアップしてくれます。あとは簡単です。私の場合なら、これも自社で開発した、生成AIが顧客に対する聞き取り調査をやってくれるソリューション

AIアンケート

に、マジックアイズがリストアップしたリスキーな行動を本当に顧客が取るかどうかの質問をセットし、ウェブ広告でこのAIアンケートに人を集めて、「インタビュー」させます。

※AIアンケートの独自技術は特許申請中です。

新規事業の立ち上げを成功させるポイント

新規事業の立ち上げを成功させるために必要なポイントについて、詳しく解説します。

「市場性」と「事業性」を明確にする

市場性とは、参入する市場の成長性やリスク、特徴や今後期待される需要などの情報を指します。

事業性とは、顧客の特徴や需要、関係性を構築する方法やボリュームなどの情報です。

この両方をリサーチして明確にしておくことで、成功する可能性の高い新規事業を立ち上げられます。

既存事業のノウハウを活かせる新規事業を立ち上げる

新規事業を立ち上げる際には、既存事業のノウハウを活かせる関係性の深い事業に着手するのも重要です。

上記で議論した自社の強み、すなわち、すでに社内に蓄積されているノウハウや社員の経験を活かせる事業であれば、スムーズに新規事業を展開できます。

一方で、。

新規事業の立ち上げ時に便利なフレームワーク

新規事業の立ち上げ時に便利なフレームワーク/メソッドについて、詳しく解説します。大切なのは2点です。

  1. この順番で分析を実施すること
  2. コンサルタントに外注せず、生成AIをフル活用して、タイパ・コスパ良く実施すること

です。

VRIO分析

VRIO分析は、

Value(価値)・Rarity(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)

を意味するフレームワークです。まずこの分析を入念に行うべき理由は、

他社が儲かっているからといって、自社の強みを活かせない領域で新規事業を立ち上げると、まず確実に失敗する

からです。

生成AIをここで活用するコツは、生成AIが自分に対してコーチングするような要領で、質問を発しさせ、自分の脳から答を捻り出すことです。逆に絶対にやってはいけないのは、

会社名だけ入力して「VRIO全部考えろ」

と、生成AIに全部丸投げすることです。これがなぜ失敗をもたらすかと言うと、

生成AIは、最も安全牌の、あるあるの/陳腐な回答を提供する

ように設計されているからです。するとどうなるでしょうか?

  • 技術力がある
  • 人材が豊富
  • 会社の歴史が長い

といった、「そんなの言われないでもわかってる!」と文句を言いたくなるような、差別化の要因には大してならない、

陳腐な強み

をウェブをサーチしてピックアップしてきますので、なんの参考にもならないのです。

同じ「技術力がある」であっても、以下の3タイプの「強み」の性質が全く異なることは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

  • 他社には逆立ちしても真似できない、ブラックボックス化された、超高精度の技術を持っている(例:アストロスケール)
  • ファブレスで、かつ、枯れた技術しか使用しないが、顧客の課題を、高スピードの開発で、痒い所に手が届くように解決する(例:キーエンス)
  • 自社で非常に強い要素技術をがっちり持っているが、同時に他社ソリューションとの組み合わせにも妙がある(例:DJI)

未来予測

次に生成AIに任せるべきは、未来予測です。VRIO分析から、事業アイデアの素案が出てきたら、その業界の未来を、生成AIに予測させます。

このときも上と同様の注意事項があって、生成AIに対して「フツーに」この業界を予測せよとコマンドしても、大胆な予測は決して出してきません。なぜなら、生成AIには、「ほらを吹いてユーザを惑わすな」という安全装置が組み込まれているので、突拍子もないアイデアを出すのが極度に苦手、というよりも、そのような回答は返してはならない、というように設計されているのです。

あるとき私は、Perplexity.aiという生成AI「本人」に、なぜ君ら生成AIは、こんな陳腐な、あるあるの回答を返すのか、と尋ねたことがあります。その生成AIはこう説明していました。

AIが「あるある」的な回答を返す理由は、学習データに基づいて最も一般的で安全な情報を提供するように設計されているためです。

弊社では、生成AIに、ある意味「妄想を広げさせ」人間には想像もつかないような未来を予測させるコマンドプロンプトを開発済みなので、自分で事業アイデアを実現するときは、それで予想を立てさせます。

SWOT分析

SWOT分析は、

Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)

によって構成される、企業・事業計画などの現状を分析するフレームワークです。

外部要因と内部要因をそれぞれプラス・マイナス面で分類し、課題の発見や解決法の考案を行います。未来予測までの生成AIとの壁打ちで、強みと脅威、そして機会も、ご自身でちゃんとわかっているはずですので、後はSWOT分析を行い、マッピングを行うようコマンドを投じるのみです。

あえて注意すべき点があるとすれば、「SWOT分析」と名前はついているものの、これ、実態は分析ツールというよりは、社内の共通認識を得るためのビジュアル化ツールだという点です。よく勘違いする人がいて、SWOT分析だけして戦略ができたと事足りとしていますが、これだけではまだ何の事業戦略もできていませんので、注意しましょう。

SWOTを見ながら、ビジネスモデルキャンバスで事業アイデアを組み立てていきます。

ビジネスモデルキャンバス

(別ページを開設し解説する予定です)。

新規事業の立ち上げ時に注意すべきこと

新規事業の立ち上げ時に注意すべきポイントについて、詳しく解説します。

新規事業の立ち上げ時は人員を最小限に抑える

新規事業の立ち上げを行う際には、チームに採用する人員を2ピザチームとしましょう。チームの人数が多すぎると作業が複雑化し、スピードが失われる可能性があります。

新規事業の立ち上げは素早く行動することが重要になり、かつ早期解散もありうるので、無駄に人を増やさないように注意しましょう。新規事業開発で決してつぶやいてはならないセリフの一つが、

乗り掛かった舟

です。これは私自身の、何度か味わった苦い経験からいえることですが、新規事業開発では、いつも、乗り掛かった船は泥船だと思った方がいいのです。

サンクコスト(今まで投資してしまった、いまさら回収できない額)が大きくなればなるほど、取り掛かってしまった事業開発に未練が生じ、捨てがたくなります。

Yコンビネーターはこう戒めます。

自社製品に絶対に恋するな、顧客の問題にぞっこんになれ

成功基準・撤退基準を整備しておく

新規事業の立ち上げ時には、前もって、以下を定めておく必要が必ずあります。

  1. どのような状態になったら失敗とみなして撤退するのか?
  2. どのような状態になったら成功とみなすのか?

①この撤退基準は、「何度ピボット(事業コンセプトを変更)できるか?」という視点で造ります。ポイントは「撤退基準を自分に厳しく定める」ということです。間違っても、SKIP/スキップのときのファーストリテイリングのように、撤退基準は設けたものの、何十億もすってしまった、という失敗は絶対に避けましょう。

②通常、スタートアップの成功基準はプロダクトマーケットフィット(PMF)とされます。しかし、既存起業は、必ずしもこの至上至高の成功の到達点を目指す必要はありません。なぜなら、「本業のわきを固め、競合が入ってこれないようにするための事業だから、そこそこの成功でOK」という基準も大いにありだからです。AmazonもGoogleも、この種の新規事業開発や買収をたくさん行っています。

私なら、生成AIとの壁打ちで、自社のリソースを踏まえた基準を設けます。

まとめ

本記事では、新規事業の立ち上げが必要な理由・必要なプロセス、そしてその際の生成AIの活用法を解説しました。

新しい収益源を確保でき、優秀な社員の育成につながる新規事業は、昨今、生成AIをフル活用して効率的かつ効果的に立ち上げることが重要です。

新規事業をスムーズに立ち上げたい企業様は、イントラプレナーとしての8度の起業経験を生かしたコンサルティングと、自ら生成AIのサービスを大ヒットさせた経験から、生成AIの導入と新規事業開発へのフル活用をアドバイスできる

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生成AIを新規事業開発でフル活用する方法を学べるワークショップも提供しており、このワークショップは、ITコーディネータのフォローアップ研修で提供される予定です。

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