事業開発の基礎:こんなアンケート調査はマジヤバイです

こんなアンケート調査はマジヤバイです

事業開発の基礎:こんなアンケート調査はマジヤバイです

イントロダクション

以前、緊急事態宣言明けを祝う飲み会に行ってきたときの話。
私は飲みに行くとき、ランチを食べに行くときも、
普通のそれではなく、
何らかのチャレンジをしている店
に行くことが多いです。
エーピーカンパニー創業当時の塚田農場的な、飲食スタートアップが経営する店がベストです。
その塚田農場の副社長をやっていらした大久保氏が新橋にひらいた興味深いお店
あまりに顧客満足度高い居酒屋の作りにほとんど感動してしまいました。
2019年に訪れた店の中では、渋谷に3店舗ある、スマートキッチンを製造提供する、
あるITの会社が運営するカフェレストランが興味深かったです。
社長が個人的に知己である、QBIT社がプロデュースした、
池袋に2020年春期間限定で登場した「ロボット酒場」にも行きたかったのですが、
結局COVID19バタバタで行けなかった・・・涙。
某大手 居酒屋チェーンが
ハイボールのサブスク
を始めたときも、速攻で購入しました。
アーリーアダプターまでも行かない、イノベーターレベルの採用の素早さでした。
まー、ジムビームしか飲めないし、たいして面白くなかったけど。。。

飲食店でのビジネスエスノグラフィのやり方

そのお店は、COVID19下で値段付けとメニュー体系を変えていたとの情報を入手していたので、
客の反応を探りに行きました。
焼き鳥ひと串200円もする代わりに、7時までは、一杯200円の飲み放題のプランがある。ウェーイ(古い・・・・)。
大手のボトラーで居酒屋のプロデュースのコンサルをなさっている友人の人が指摘していたのですが、
こういうときは、生ジョッキに限るそうです。原価高くて一番利益率が低いのがビールだそうです。
ふむふむ。勉強になります。
ギンギンに冷えた生ジョッキでかんぱーい!してから、
さりげなく、5時半からすでに満席の店内を観察します。
☑ この店のプレミアムマーケットセグメント(和製英語でいうボリュームゾーン)のペルソナはどんな感じか? 例:家族連れかカップルか?年齢層?推定される職業?わざわざ遠方からきている客はいそうか?
☑ どんな商品が売れているか?売れている理由は何と推定できるか? 例:寒かったので、ラーメンがシメでよく出ている。
☑ 客の回転率はいかほどか?
☑ オペレーション自体の中に unique value proposition(s) はあるか? 例:塚田農場の浴衣姿の店員
☑ 立地などから、客単価はいかほどと推定できるか?
と、重要事項を、さりげなく、しかし、子細に観察していきます。
これは、
ビジネス・エスノグラフィー
の練習です。
(ビジネス・エスノグラフィーについては別途解説します。)

こんなアンケート調査はマジヤバイです

観察する中で、テーブルのわきにあった、
お店とLINE友達になったら一品プレゼント
の紙を見つけて、さっそくフレンチフライ一皿をゲットしました。
で、私のLINEに
アンケートに答えたらドリンク一杯ただ
が飛んで来て、これをやってみたのですが。
…………いやいやいやいや、これは、アンケートとしては、いちばんだめなやつっしょ…………
と店の将来が心配になりました。
アンケートでは、以下のような質問が、順番に問われます。
  1. 料理はおいしかったですか?1-10
    (2) 8とつけてくれた理由の料理は、特にどれですか?
  2. (1) お店の対応はどうでしたか?1-10
    (2) 8以上でなかった理由は、どんな対応でしたか?
  3. (1) ドリンクの出てくるタイミングどうしでしたか?1-10
    (2) 8以上でないのは、どのドリンクで時間がかかったからですか?
  4. 輝いている店員はいましたか?名前を極力書いてください。
…………
と、10問ほど訊かれる。
…………いやいやいやいや、これ、マジダメっすよ。
顧客の本音が絶対に出てこないやつです。
なぜかみなさんおわかりになります?
ご自分がこれをやってみる時の気持ちになれば、一発でわかりますよー。
理由をずらっと並べてみるテストです。
  1. 第一に、アンケートに手間暇かけて答えてくれるひとは、
    基本的に、 「サービス超よかったぜ!」と思うお客様か、
    「サービス超絶最悪だ、二度とこねえ!」かのどちらか。 つまり、中間の、

    「もうちょっとでヘビーユーザーに転がる」

    という、いちばん引き寄せたい顧客の反応が、すぽんとぬけおちます

  2. 「いっぱい飲み物進呈します」と餌ぶら下げて、 上記 1. をリスクヘッジしているつもりでしょうが、
    全然ヘッジになってないんだなー、これが。

    ①「ものあげますから質問に答えてください」 →「ものもらってるし、厳しい本音は書きづらいなあ」
    と、本音からのギャップが、必ず生じます。
    業界通のプロフェッショナルオピニオン集めるとき以外は、
    有償のアンケートは、まず無効だと肝に銘じるべきです。
    ②私のように「ひたすら無料で一杯飲みたいだけ」の顧客は、
    なんでもいいから画面が進めばいいだろ
    となります。
    実際私は最初の3問こそマヂメに答えていましたが、残りは、
    10→理由:特になし
    10→理由:特になし
    とにかく10だよ、よく知らんけど→理由:特になし
    輝いている店員:特になし
    と、すこぶるテキトーになりました。ちなみに「特になし」はコピペしました。
    ごめんなさい。
    こうなってしまうのは、
    アンケート答えるのって、何気に面倒くさいからです。。
    こっちは早く無料の生ジョッキぐっといきたいんだよ!
  3. この種のアンケートは、食前に答えられたんじゃ、当然、意味がない。
    「飲み物が出てくるタイミング」
    って訊かれてもさー、まだいっぱいの半分しか飲んでないんだよ、こちらは。
    ちなみにですが、飲み屋に限って言うと、食後も、確実に答の質が落ちます。
    なぜなら、大なり小なり、酔っ払っているからです。
すなわち、どう転んでも、ゴミデータしか収集できないのです。
garbage in -> garbage out
でして、こんなゴミから、
重要なインサイト(サービスに関する洞察)
出てきっこないですってばよ。
これはオフラインの店舗で、チャネルが異なるので一概に比較はできないのですが、
こうしたアンケートをとる、最終的な目的って、こんな感じです。
ピザハット台湾が、AIツール導入して、サービスの刺さる潜在顧客にクーポンを狙い撃ちでばらまき、コンバージョン率15%向上、クーポン使ったと取引17%向上に成功:
https://www.appier.com/case-studies/pizzahut/
無償でクーポンばらまくのなら、ここまでやりきらないと。
今のままだと、一見さんでも/二見さん(?)でも/めっちゃヘビロテさんでも、
平均してこのクーポンを使っておいしい思いだけして、
ごちそうさま!
と感謝しつつ、ゴミデータを残して、去っていくことになります。
スタートアップ創業者の皆さんは、よく覚えていていただきたい。
よほどうまく設計しない限り、アンケートで顧客の本音を引き出すのは、極めて難しい
私がこの店のアンケート設計すれば、無償のアンケートで、
リピーター増やすための施策を顧客の声から確実に導出する
自信あります。
私なら、どうするか?は、別途公開する記事にて~。

コメントを書く

送信いただいたコメントは承認後、表示されます。

CAPTCHA