スジのいい事業アイデアって何!?

企画段階でチームの半数以上がその成功を信じないくらいの事業アイデアがいちばんヒットする

スジのいい事業アイデアって何!?

イントロダクション

スジのいい事業アイデア

をくださいといわれたことがあります。

……え?!ええええ?

「そんな虫のいいこと言われてもねえ」

といふツッコミでは、ござりませぬ。

いや、ぶっちゃけ、それも少しはありましたけど。

ここでのポイントは、むしろ、

「そんなものを案出して、いったい何の役に立つの……?!」

です。

スジのいいアイデアって、アレですよね、アクをとりながら鍋で何時間もコトコト煮ると、いかにも

美味しい牛丼

できそうに思えるじゃないですか。

それでは、こんにちではイノベーションと絶賛されている事業が、事業アイデア誕生時 どれだけ、

「うお、それはスジがいい!」

と絶賛されたか、見ていきましょう。

事例1: Starbucks/スターバックス

ハワード・シュルツ氏は、イタリアからコンセプトを持ち帰ったカフェチェーンを事業化するために、

資金集めに奔走します。

投資家に次から次へとあたって投資をお願いしますが……

“Why on earth do you think this is going to work? Americans are never going to spend a dollar and a half for coffee!”
「一体全体なんでこんなのがうまくいくと思ってんだ?アメリカ人は絶対にコーヒー一杯に$1.5以上は支払わんよ」
“You’re out of your mind. This is insane. You should just go get a job.”
「君はどうかしている。この企画は正気じゃない。さっさと働き口を探しな」

シュルツ氏はさんざん馬鹿にされ、242人中、217人の投資家が、投資を断りました(泣)。

出典:

Pour Your Heart Into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time (English Edition)

邦訳はこちら。

事例2: Amazon マーケットプレイス

Amazon.com のマーケットプレイス現在は同社の稼ぎ頭筆頭を占めるマーケットプレイスが世に出たとき、

すぐさま、アメリカの出版業界2つが、すぐさま公文書で Amazon.com に抗議しました。

出版社と本の書き手にしてみれば、古本屋が自分たちの市場にまともに入ってきて、

収益が下がるのが、面白かろうはずがありません。

そして同社の社員にしたって、

「どこの馬の骨ともわからんプレイヤーがAmazonづらしてうちの軒先で発注をとり、
配送などサポートでしくじったらわが社の評判が下がるうえ、
せっかく新刊が在庫している本であっても、古本のが安ければ売上が下がる」

という、わけのわからないスキームに、納得がいくはずがありませんでした。

そして、

“he (Bezos) managed to upset almost everybody, even his own colleagues. “As usual,” says Mark Britto, “it was Jeff against the world.”
「ジェフは、同僚を含む、ほぼ(関係者)全員を怒らせるにいたった。『いつも通り』マーク・ブリトーは言った『ジェフ対世界という構図だった』」

出典:

ライナーたちに連れ去られたエレンに

「敵は誰だ?」

と聞かれて、ユミルが

「そりゃ、いわば、せ……」

と言いかけるのをほうふつとさせます、ってなんのこっちゃ(漫画未読の方、ネタバレ注意)。

事例3: Airbnb/エアビー

ときはサブプライムローンの不況の真っただ中、何十人もの投資家に会っても誰も投資をつけてくれず、

クレジットカードのギリギリいっぱいまで借金して食いつないでいた Airbnb の二人の創業者は、

もとGoogleのエグゼクティブの投資家にカフェで落ち合って、ピッチします。

その投資家は、ピッチの途中でスムージーに口をつけないままふっと立ち上がってどこかへ行ってしまい、

そのまま帰ってきませんでした(泣)。

Yコンビネーターの現CEOマイケル・サイベル氏の口利きでようやく紹介してもらった、

Yコンビネーターの創業者ポール・グレアム氏は、彼らの事業企画を聞くなり、こういいました。

“People are actually doing this? Why? What’s wrong with them?”
「実際にこんなことする(=赤の他人の家に泊まる)人間なんているの?なんでまた?彼らはどうかしてんじゃね?」
“I wouldn’t want to stay on anyone else’s sofa and I didn’t want anyone to stay on mine,”
「私なら他人のソファの上で一晩過ごそうとは思わないし、誰かがうちのソファの上で寝るのもいやだねえ」

出典:

スケールした事業アイデアほど発案時はこき下ろされる

つまりーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

イノベーティブな事業アイデアは、最初、必ずと言っていいほど、くそみそに言われる

ってことです。

Netflix も、Twitter も、iPhone も、Tesla も、企画の段階では、関係者に

『スジ激わる』

と酷評されたのです。

Netflix の創業者の一人マーク・ランドルフ氏はそのアイデアを妻に打ち明けた時、

「今まで聞いた中で一番バカみたいなアイデア」

と酷評され、Twitter は、有名な投資家に

「短いブログなんてしょーもな」

と思われ、

(ちなみにマイケル・サイベル氏はものすごい初期から Twitter のユーザだったが、使いながら、同じく
「こんなん、しょーもなっ」
と思っていた)

iPhoneはMicrosoft社のスティーブ・バルマー氏に「スマホの常識を知らん」と嘲笑され、

いや、その前に、マルチタッチスクリーン搭載のケータイのプロトタイプを

Apple社内でデモされたスティーブ・ジョブズ氏も、最初は「……は?なんだこりゃ?」という顔をし、

数千個のリチウムイオン電池がボディの80%を占めるフル電気自動車

のアイデアを発案した Tesla Motors の創業者も、

イーロン・マスク氏以外の周囲の人間ことごとくに、やはり狂人扱いされています。

「ほかの人間はことごとく私が狂っているといったが、イーロンはそのアイデアをとても気に入った。」ストローベルはいった。「彼はいった、『いいとも、ちょっとお金つけてあげるよ』」

出典:

私の経験から もこれは言えます。

以前勤務していたある事業会社で、非常な売上をたてたある新規事業を開発した同僚が、その功績を表彰されました。

表彰した同社のCOOは表彰式で、

企画を聞いた時は、こんなの本当に売れるのかと思った

と本音を漏らしていました。

そして何より、私が発案からメンバーに加わった事業の中で唯一PMFに達した事業も、

発案時は、ボロボロにこき下ろされました。

辛かったです、あれは……。

日本のシリアルアーントラプレナー同士が対談したときも、

「企画チームの少なくても半分以上は反対しないような事業は大ヒットしないよね」「そうそう!」

と、もりあがっていました。

そこでスタートアップの創業者/イントラプレナーへのメッセージ。

関係者みなが

「いいね、面白い!」「アリ寄りのアリ」

と盛り上がっちゃう、

スジがよいと社内で評価されるは事業アイデアは、売れたとしても、パッとしない

と、肝に銘じるべし、です。

中途半端な企画が Product/Market Fit に達することは、およそない。

逆に言えば、

いかにぶっとんだ事業アイデアを出すか?

がキモ。

じゃあ、どうやったらそんなアイデアでてくるのさ?

は、こちらで議論していますー。

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