と、前の記事で指摘しました。
この記事は、地雷群を、科学的な実験を繰り返すことで回避していく
リーンスタートアップ
の基礎編です。
※リーンスタートアップについてよく知っていると思われる方も、ぜひ一度ご笑覧ください。
必ず得られるものがあると思います。
新規事業開発手法リーンスタートアップもプロダクト開発の悲劇から始まった
ポイント① 新規事業の戦略「ネットワーク効果」
ポイント② 新規事業を開発する手法 アジャイル
ポイント③ バニティメトリックス
ポイント④ ユーザテスト
ポイント⑤ ピボット
ポイント⑥ MVP/Minimum Viable Product
新規事業開発手法リーンスタートアップとは何か?
新規事業開発のネタの宝庫:IMVUのエピソード
ポイント① 新規事業の戦略「ネットワーク効果」
ポイント② 新規事業を開発する手法 アジャイル
ポイント③ バニティメトリックス(欺瞞のKPI)
ポイント④ ユーザテスト
ポイント⑤ ピボット(事業転換)
ポイント⑥ MVP/Minimum Viable Product
新規事業開発メソッドリーンスタートアップ:終わりに
新規事業開発手法リーンスタートアップもプロダクト開発の悲劇から始まった
リーンスタートアップ/The Lean Startup Method は、
2011年にエリック・リース氏によって書かれた以下の書物でフレームワーク化されました。
エリック・リース氏は、IMVU社に参画する時点で、すでに2社のスタートアップを経験していました。
イェール大学在学時に、Catalyst Recruiting社を起ち上げてすぐに店じまい。
卒業後にシリコンバレーに移ってきて、There, Incに入社、
3Dバーチャルワールド製品を上梓しますが、これも売れずにすぐに失敗。
(出典:Wikipedia からの孫引きですみません。)
若いリース青年は3社目こそは成功させるのだ!と燃え立って、
IMVU/インヴュー社にCTOとして参画します。
アバターつきのインスタントメッセンジャーアドオンを提供するサービスを造ろうとしていました。
ポイント① 新規事業の戦略「ネットワーク効果」
IMVU創業当時の2000年代初頭、当時は、Slack など影も形もありません。
周囲の人間がはまったら、自分も参加せざるをえず、抜けられなくなり(スイッチングコスト高)、
雪だるま式にユーザベースが膨れていく
を狙い、かつ、すでにMicrosoftなどをはじめとした大手がすでに存在する
インスタントメッセンジャー市場において、差別化のため、
既存のアプリケーションへのアドオンを通じてその機能を提供するという、
卓抜な戦略を同社は具備していました。
ポイント② 新規事業を開発する手法 アジャイル
リース氏はどうやら、過去の2社の失敗を、
製品のランチが遅すぎて顧客のフィードバックを得るのが遅くなった
(特にThere, Incは製品をランチするのに、リース氏の入社から2年もかかっているようです)
せいだと認識していたので、当時はまだアメリカでも珍しかった
半年間で必死で製品版のコードを書き上げます。
アドオンとしてのIMなんて、誰も作ったことはありません。
これは過酷なスケジュールでした。半年間では造りきれない部分が残ります。
不具合が多すぎ、チームの中にはリリースを伸ばす声が多々ありました。
きっと、サービスローンチの前の晩には、
「あのバグも残っているな、このバグも残っているな……」
と、トリアージしても取り切れなかったバグリストを眺めながら、CTOであるリース氏はくよくよ悩んだでしょう。
しかし、スピード優先、リース氏は思い切って世の中にIMVUを送りだします。
その翌週は、誰も残ったバグを引きませんでした。
その翌々週も、幸いにして誰もバグを引きません。
というか、ひと月たっても、何も起こりませんでした。
And then — nothing happened! (Eric Ries, “THE LEAN STARTUP”, currency)
それもそのはず、
からでした。
ポイント③ バニティメトリックス
IMVUはサービスをランチして数か月間、4万円~5万円の月額売り上げしかたてることができません。
累計ユーザ数のホッケースティック曲線のような、
ポイント④ ユーザテスト
も、はずみ車がまわる最初の一撃を与えることすらもできない、という現実に直面します。
ポイント⑤ピボット
そこでリース氏たちは、身を切るような
ポイント⑥ MVP/Minimum Viable Product
LP(ランディングページ)を用意して、
『使ってみる』ボタンが押下されたら、『工事中』ページに飛ぶ
という、サクッと書けるウェブページと同じ成果しかもたらさなかったってことじゃないか!」
新規事業開発手法リーンスタートアップとは何か?
リーンスタートアップの要諦を煎じ詰めていえば、
- 顧客に否定→修正される前提でサービス仮説を立て、
- 仮説を検証するのに最低限必要なMVPを素早く造って世に出し、
- 顧客の反応を確かめて、
- ①に戻ってサービス仮説を修正する
というサイクルになります。
新規事業開発のネタの宝庫:IMVUのエピソード
ポイント① 新規事業の戦略「ネットワーク効果」
ネットワーク効果、ベゾス氏がBUILD TO LASTの用語を引用していう
は、もし利用するのだったら、あらかじめ最初にどうやって一撃を与えて勢いをつけるか、
目算を立てておく必要があります。私自身が
たったいま実施している試みは、
このブログをSNSやメールなどで友人知人にシェアさせていただき、
Googleが本ブログを認知して、狙ったキーワードに関して上位に食い込むようになるまで、
口コミベース a viral loop でアクセス数を増やそうとするものです。
ポイント② 新規事業を開発する手法 アジャイル
私がリーンスタートアップ/The Lean Startup Method の説明をし始めると、
「あーあー、リーンスタートアップね、知ってる知ってる、アジャイルのことでしょ」
と、中途半端な理解のまま解釈してくる方がときどきいますが、
リーンスタートアップの始祖エリック・リース氏その人からが、
ポイント③ バニティメトリックス(欺瞞のKPI)
スタートアップが、VCはおろか自分たちまで騙すために参照する
多くは累積の値を持つKPIです。これを、
バランスシートに出てくる数値は実はすべてこれで、
累計売上を積み上げていって、ホッケースティック曲線を眺めて自分を慰めるのは、
事業の問題を正しくとらえることに何ら役に立たないのは自明です。
ポイント④ ユーザテスト
ここで意外と大事な注目すべきポイントは、
リース氏たちがユーザテストではご法度とされていることをやっていることです。
すなわち、サービス提供者側が、
システムの使い方を説明してしまった
と思われることです。
実はこれはユーザテストでは決してやってはいけないことの一つです。
UIだけですべてを語らせない限り、テストにならないからです。
ポイント⑤ピボット(事業転換)
ピボットとは、大きく分けると、今までとは全く異なるサービスを起ち上げ直すこと、
もしくは、全く新しい顧客セグメントを相手にし始めること、です。
過去に、下記のようなピボット/事業転換の事例があります。
企業 | ピボットの軸 | 従来の事業 | 現在の事業 |
富士フィルムHD | ナノテクノロジー | 銀塩フィルム製造 | 化粧品製造 |
PayPal | セキュリティ技術 | モバイルセキュリティソフト | メールを使用した決済サービス |
すでに具備していた機能 | 位置情報を共有できるサービス | 写真共有SNS | |
YouTube | 動画シェア技術 | 動画を使用した出会い系サイト | 世界最大の動画シェアメディア |
私に言わせれば、ピボットとイテレーションは全くの別物で、
かつ、ピボットには2種類あります。
これは別頁にて丁寧に説明します。
ポイント⑥ MVP/Minimum Viable Product
新規事業開発メソッドリーンスタートアップ:終わりに
今回は、リーンスタートアップのフレームワークを作ったエリック・リース氏の原体験を丁寧に分析することで、
リーンスタートアップメソッドのアウトラインをご理解いただきました。
次回は、リーンスタートアップのかなめの一つである、
について語ります。