中小企業はカバディをプレイしろ!楽して儲かる事業戦略:ランチェスター戦略

モーター

中小企業はカバディをプレイしろ!楽して儲かる事業戦略:ランチェスター戦略

イントロダクション:中小企業はカバディをプレイしろ!!

カバディは、他のスポーツにはねぇ、道具さ使わないチームスポーツだ。
自分と仲間の肉体だけで勝負する…熱いスポーツだ。
もとサッカーエリートである主人公宵越をカバディ部に勧誘する、
同じ高校の同学年、畦道のこのセリフを読んだときはまだ、
読者である管理人もカバディの熱さがさっぱりわかりませんでした。
しかし、最新刊まで読み終わった今、管理人は声を大にして言いたい。
おぉ、畦道、お前は正しい、お前は熱い奴だし、カバディもめちゃくちゃ熱い!やってみたい、カバディ!!
そしてこの漫画自体、めちゃくちゃ熱い!!
最近読んだスポーツ漫画の中でも面白さで1,2を争う「灼熱カバディ」、ぜひ読者の皆様も読んでみてください!


その面白さは、カバディ自体の熱さからだけ来るのではありません。管理人が着目したのは、

え?なんでわざわざカバディ?

という、選択でした。

中学サッカーで全国大会に出た主人公自身が、第1巻第1話でカバディを「ネタスポーツ」扱いしており、

その見解に対するカウンターとして冒頭の畦道の反論は吐かれたものなのです。

ちなみに管理人は、ほかのスポーツ漫画も大好きです。

たとえば最近完結してしまった、高校サッカー漫画「DAYS」など、何回読み直したか覚えていません。

しかし「灼熱カバディ」を読み進めるにつれ、筆者自身も編集者の意向に沿っただけで、

企画段階では作者自身にすら不本意だったこの

スポーツ漫画でよりによってカバディ

という選択自体が、作品に思わぬ「探求の面白さ」を与えていることがわかってきました。

「DAYS」は、敵チームも含め、あれだけたくさんのキャラクターの個性を、

ビビッドに明確に描き分けたため、 その圧倒的な魅力であそこまでベストセラーになりました。

しかし、サッカーは、読者の中にも多数よく知っている人物が伏在している、競技人口の多いスポーツです。

聖蹟キャプテン水樹がオーバーヘッドを撃とうが、ドライブシュートを撃とうが、 何十年も前にキャプ翼が

小学生ですでに撃っていた

わけで、読者には特段の目新しさはありません。

読者もルールをよく知っているので、ディフェンスのシーンで、

キャーッ、臼井君素敵ーっ、でもそこは単純にオフサイドトラップでよくね?!

という、イデオットプロット(読者が作者のミスに気づく)も起きやすいわけですね。

しかし、カバディを知っている人は圧倒的に少ない。

目新しさばかりだし、イデオットプロットなど、ほぼ起きようがないわけです。

「灼熱カバディ」の初めての練習試合のシーンで、主人公の属するカバディ部の副部長井浦が、

こちらの攻撃終了後、こちらの攻撃手の背後をすぐに敵チームの攻撃手が追いかける

追撃

なるルールを、試合前に教えていなかったため、

攻撃手の宵越が敵チームの攻撃手にコートの外に追い出されてしまい、井浦が謝るシーンがあります。

このシーン、よく考えると、まずありえないのです。 なぜなら、

主人公がのちに「小賢しいことを考える」と認めているブレイン役の井浦が、

こんな基本的なルールを、自チーム全員に、練習試合までに教え込んでいないはずがないからです。

この瞬間に遅ればせながら気づいたのですが、この「灼熱カバディ」は、

読者も主人公と一緒になってカバディのルールを一から学んでいく
構造になっており、それがサッカー漫画にはありえない、独自の面白さを生んでいるのです。
その証拠に、冒頭はカバディを馬鹿にしていた主人公は、カバディをプレイしていくにつれ
よくできたルールだ
とカバディを認めていき、それにのめりこんでいく流れになっています。

中小企業が採るべき事業戦略:ランチェスター戦略

管理人がこの「灼熱カバディ」がすごいと思うのは、他の漫画家がおよそ描こうとは思わない題材を、

作者があえてスポーツ漫画の中で取り上げ、一から取材して物語を創り出したことです。

この漫画はベストセラーとなり、ネット漫画の賞を受賞し、アニメ化されます。これこぞ

ほかの事業者がやろうと思わない事業を始めて、その事業ドメインのマーケットを席巻、独占する

という
ランチェスター戦略
です。
 
せっかく漫画ネタが出たので、中身じゃなく、周囲に目を向けてみます。
書店に行くと、立ち読みしてほしくない本、特に漫画は、全部ラッピングされていますね。
あのラップを造っているメーカー、ダイワハイテックスは、あの市場を事実上、独占しています。
日本では年間に約72,000冊もの本が新規に出版され(2019年)、その3分の1が漫画です。
TAM = 72,000÷3×平均発行部数×ラッピング単価
の市場全部をもっていけるとなると、単価が超安くても、馬鹿にならない規模の売上が毎年確実に立つわけです。
たかだかラッピング
と、上記の計算式を読む前に読者のあなたが思われた、そのこと自体が、
あれがダイワハイテックスによる秀逸なランチェスター戦略にほかならないことを示しています。
他の誰も手を付けない市場であるわけですから。
ランチェスター戦略のいいところは、このように、
いったん独占してしまえば、競争がほぼほぼ生じず、確実に収益が上がる
ところです。
しかし、すでにお気づきのとおり、競争は生じずとも、外からの
の脅威の波に、ランチェスター戦略のプレイヤーたちがさらされることは、これは大いにあり得ます。
それこそ、「灼熱カバディ」は、最初からネットとして「出版」され、電子書籍でしか読めません。
電子書籍という Amazon.com が仕掛けたディスラプションの津波はこんなプレイヤーまで巻き込んでいるわけです。
他の業界でも、ランチェスター戦略の例を取り上げます。
経済学者の成田悠輔氏が、こんな面白いツイートをしていました。
ラブホ産業にも見えない独占プラットフォーマーがいる。
入室パネル・部屋内精算・その他ホテル管理のためのシステムの市場シェア80%を握るアルメックス(USENの子会社)。
彼らの独占ソフトウェアを操作するには謎の専用キーボードが必要という面白仕様に心が踊る
これは気づかない!ラブホテルの受付の中を覗き込むやついないし、そもそものぞき込めないし!!
TAMを推定してみましょう。
全国のラブホテル軒数は5,670軒だそうです(意外に少ない………)。そして、完全に蛇足ですが、
店舗数が最も多いのは宮崎県で成人10万人あたり14.08軒(偏差値72.4)。
という統計も面白いですね。
このシステムをガボッといれる単価、たとえば1000万としても、
TAM: 5,670×1000万 = 567億
もしかしたら、メンテフィーをサブスクにしているかもしれませんね。
そうすると、安定して収入がたちます。

事業開発のカギ:ランチェスター戦略の成功事例マブチモーター

マブチモーターは、ブラシ付き小型モーターに特化して生産している企業です。
従来はパーツメーカーとして、玩具メーカーの垂直統合の中で
小型モーターを受注生産していました。すなわち、
下請け
です。垂直統合、すなわち、ケイレツですから、
自分たちのモーターの仕様を自分たちでは決められません。
したがって生産数が決まっており、事業はスケールしませんでした。
マブチモーターはしかし、ここで、
下請けの構造を破壊しよう。自分たちで仕様を決めた品質が高いモーターを、
大量生産によるスケールメリットで廉価で売れば、必ずお客さんがつく。
と、自らの技術力をコアとして、決然たるピボットをします。これ、実は、
SpaceX
の発想と全く同じなんですよね。
同社は、カスタムメイド小型モーターの生産をやめ、シェーバーなどのブラシとしても利用できる
標準化されたモーター
を廉価で製造販売することで、ニッチ市場を完全制覇しました。
BROWNから受注するくだりなど、事業を展開するプロセスは非常に参考になり。
かつ、読んでいてワクワクしますから、下記の出典をぜひご一読ください。

事業戦略の雄:ランチェスター戦略にも、しかし、欠点はある

ランチェスター戦略にはしかし、原理的に、一つの欠点があります。

市場が限定されるがゆえに、多くの場合、めちゃくちゃスケールするビジネスを生み出しにくい

という本来的な欠点です。

理容・美容院で使用される椅子に特化した、タカラベルモントというプレイヤーがいますが、

2020年の売上が、694億です。

これから伸びていこうという、たとえば、スタートアップたちの目からすれば、

十分に巨大な売上だと思いますが、逆に言えば、これくらいが市場のキャップです。

別の記事で詳しく語りますが、Teslaもまた、Tesla Motorsを名乗っていたとき、

ランチェスター戦略

でデビューしています。 しかし

単なるランチェスター戦略なら、今の Tesla の天文学的な時価総額は、とうてい達成不能です。

このあたりのギミックを、続編では語っていこうかと思います。

参考文献

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