新規事業を展開する際には、その必要性を正確に把握しておくことが重要です。
「なぜ新規事業をはじめるのか」「企業にとって新規事業は必要なのか」
といった点を理解していなければ、成功することは難しいでしょう。
本記事では企業にとって新規事業を起こす必要性と、成功のポイントを解説します。
新規事業とは
新規事業の必要性を知るためには、定義・条件について理解する必要があります。
そこで新規事業とは何なのか、詳しく解説します。
自社の利益につながる仕組みを新たに構築すること
新規事業とは、「自社の利益につながる仕組みを新たに構築すること」と定義されます。
新しいビジネスモデルを考案し、実現することが新規事業の基本です。
手掛けるビジネスモデル・事業内容は、業界・企業などによって異なります。
スタートアップ企業にとっては初めて収益化したビジネスが新規事業にあたり、
既存企業ではすでに成功しているビジネスと異なり新たに始めるビジネスが新規事業です。
「商品・サービス」と「展開する市場」が新しいことが条件
新規事業を展開する際には、
自社のプロダクト(商品やサービス)が新しいこと・展開する市場が新しいこと
の2つが条件です。
たとえば「従来とは違うプロダクトの開発」「新しい業界・業種への参入」「BtoC事業からBtoB事業に挑戦する」などが新規事業に該当すると一般に言われていますが、
実は「新奇事業」「陳腐事業」の二種類しかありません。
陳腐事業では、アイディエーションをさぼったが故に苦しい戦いを強いられると自覚すべきです。
新規事業の必要性
新規事業の必要性について、以下3点を解説します。
・既存事業はいずれマンネリ化する
・優れた事業は模倣される
・企業としての成長を促進させる
既存事業はいずれマンネリ化する
どのようなプロダクトにも必ず寿命があり、いずれは陳腐化・マンネリ化して収益率が低下します。
これは「プロダクト・ライフ・サイクル」と呼ばれ、ビジネスの世界で浸透している考え方です。
そのため特定の事業に依存していると、企業として衰退してしまうため、新規事業が必要とされています。
優れた事業は模倣される
モートの低い事業では特定の市場で事業展開に成功しても、そのうち多くの競合他社によって模倣されます。
その結果、価格競争に巻き込まれたり、顧客を奪われたりするリスクが高いです。
これを避けるためには、
競合からバカだと思われる
ことが重要になります。
そこで既存事業のノウハウを活かして新規事業の開拓を行い、競合他社のいない新しい分野で利益を確保することも重要です。
例としてウォルト・ディズニーは、既存の遊園地や動物園が汚い場所だったからこそディズニーランドを造りました。
企業としての成長を促進させる
既存の事業だけに頼っていると、プロダクトについて考える機会や改善を行うタイミングが減少します。
それは成長を鈍化させることにつながり企業の衰退を招くため、新規事業を起こして成長を促すことが必要です。
また新規事業の立ち上げを経験させることは、人材育成にもつながります。
たとえばBlockbusterは最初Netflixの事業を小ばかにしていましたが、
途中でその脅威に気づき、自社のネット事業を構築したものの、間に合わず結局自滅しました。
新規事業に求められる要素
新規事業には、以下3点が求められます。
・競合の少ない市場かどうか
・相乗効果(シナジー効果)を引き出せるか
・自社が挑戦したことのない業界かどうか
競合の少ない市場かどうか
新規事業を立ち上げる際には、事前にリサーチして
競合が全くいない・大成功事例が全くない市場
を選びましょう。
「市場に参入する」というアイディエーションをさぼる、他人任せのマインドセットを捨てます。
既にレッドオーシャン(競争の激しい市場)となっている市場に参入しても、新しい立ち位置を確立して利益を上げることは難しいです。
顧客インタビューで、他社が気づいていない顧客のペインを聞き出すのが重要になります。
相乗効果(シナジー効果)を引き出せるか
自社の既存事業と、新規事業がシナジー効果を生み出せるかどうかも重要です。
既に確保しているノウハウや技術を応用できる新規事業を展開することで、ローコストで事業が起こせるメリットがあります。
また新規事業で獲得した顧客や技術は、既存の事業に還元することも可能です。
自社が挑戦したことのない業界かどうか
新規事業を展開するのなら、基本的に新しい業界に挑戦しましょう。
特定の業界だけで事業を展開していると、
その業界そのものが衰退をはじめた際に共倒れになるリスクがあります。
他の業界にいつでも移れる準備をするためにも、新規事業は新しいジャンルを選ぶことが重要です。
新規事業を成功させるポイント
新規事業を成功させるためには、以下3つが重要なポイントです。
・既存事業を見直す
・内部環境と外部環境を分析する
・新規事業を立ち上げるタイミングを見定める
既存事業を見直す
既に成功している既存事業を見直して、成功理由や改善点を確認しましょう。
どうして成功しているのかを分析することで、自社特有の魅力や長所が見えてくるため
新規事業にも活かせます。
既存事業の見直しは、単純に事業を改善するきっかけにもなるため一石二鳥です。
内部環境と外部環境を分析する
新規事業を展開する際には、
「内部環境(自社を構成する要素)」
と
「外部環境(自社を取り巻く要素)」
をそれぞれ分析して、新規事業に必要な要素を洗い出しましょう。
SWOT分析などを活用し、自社に足りない部分や強み、
市場の変化などを具体的に把握することがポイントです。
新規事業を立ち上げるタイミングを見定める
新規事業は、立ち上げに適したタイミングがあります。
適したタイミングで、スピーディーに参入できなければ
事業化のタイミングを逃すことや、競合に負けてしまうことがあるでしょう。
自社が位置する成長フェーズを把握することで、新規事業を立ち上げるべきか判断することが可能です。
新規事業の立ち上げに適したタイミング
新規事業の立ち上げに適したタイミングについて、以下4つの成長フェーズごとに解説します。
・創業期
・成長期
・成熟期
・衰退期
創業期
創業期は、まだ事業をはじめて間もない時期のことを指します。
成長軌道に至っていないことも多い状況で、既存事業を大きくするためにリソースが必要な時期です。
既存事業が定着していないことがほとんどなので、新規事業の立ち上げには向きません。
まずは新規事業よりも、既存事業にリソースを注ぎ込みより強固な状態にしましょう。
成長期
成長期は既存事業が軌道に乗り、会社が成長しはじめる段階です。
事業の成功によって投資に回す資金も確保しやすく、好調な時期であれば社員のモチベーションも高く保たれています。
人員・資金面ともに安定しやすい状況のため、新規事業の立ち上げに適しています。
成熟期
成功を収めて特定の地位を確立し、技術やノウハウの蓄積が終わっている時期です。
豊富な経験を持つ社員によるリードが期待できるため、新規事業を展開しやすい時期といえます。
ここで新規事業を行うことで、次のフェーズである衰退期へ移らないようにすることが重要です。
衰退期
既存事業のプロダクト・ライフ・サイクルが寿命を迎え、利益の縮小がはじまる時期です。
衰退期は新規事業の立ち上げには厳しいフェーズといえます。
新規事業をはじめる体力が残っていないことがほとんどなため、
このタイミングまで新しいことをはじめられないと会社の存続が危ういです。
手遅れになる前に短期間で成果を出すことが重要になるため、
失敗を恐れず大胆な発想が求められます。
新規事業を開拓した成功事例
新規事業の開拓に成功した事例について、以下2つを紹介します。
新規事業の成功事例① ホンダ
ホンダは小型のビジネスジェット機「ホンダジェット」を新規事業として開発し、
2019年上半期の納入機数が世界最多となるほどの成功を収めました。
スピード・高さ・距離など消費者の心理をつかみ、
自動車事業のノウハウを活かして独自開発のエンジン配置を実現しました。
自社の技術を活かし、他企業でマネできない事業展開を行っています。
新規事業の成功事例②日本郵政×Yper株式会社
日本郵政とYper株式会社は、郵便物の不在時受け取りサービス「OKIPPA」を新規事業として展開しました。
盗難防止の措置が施された置き配専用のバッグを、自宅の前やメーターボックスの前に設置して、不在時にも受け取れるサービスです。専用アプリを活用して配送状況を確認できるため、安心して荷物の受け取りが可能になりました。
まとめ
本記事では、新規事業の必要性・成功するためのポイントについて解説しました。新たなビジネスで収益化を狙う新規事業は、市場需要を満たし適切なタイミングで行えば成功を狙えるでしょう。
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