弊社サービス伴走支援導入例:SIer 様

弊社サービス伴走支援導入例:SIer 様

2026.01.30

プロジェクトの概要

項目 案件の定義
クライアント様 某大手SIer様(売り上げ1兆円以上)
期間 2025/10/1 ~ 2025/12/26
初期のご依頼 既存のシーズを活用した、クライアント様初の、自社サービス開発を行いたい。ついては、B to B to Cのスキームで、真ん中のBに対する提案書を書いてほしい
前提 クライアント様も、その先にいらっしゃる企業B様も、事実上、新しいサービスに関してはノーアイディア。

プロジェクトの進め方

1.  ご依頼事項の再解釈

上記の通り、「事業アイデア(ビジネス企画)の提案書を書いてほしい」というご依頼でしたが、弊社はこれを「自社サービスを行った経験が豊富でないから、その方法を教えて、ガイダンスしてほしい」という依頼だと再解釈させていただきました。

もちろん、弊社で既存の技術シーズを用いた事業アイデアを発案することは可能ですが、そのやり方には、根本的に以下の二つの欠点を伴います:

  1. クライアント様社内で、「他人の思いついたアイデア」を事業化することに対する、わだかまりが大なり小なり生じる
  2. その事業アイデアに、将来、果たして豊かな市場性が伴うかどうか、弊方としても保証することができない

そこで、弊社が持つ、アイディエーション(事業アイデア発案)メソッドと顧客インタビューを組み合わせ、エフェクチュエーションの手法によるオリジナルの事業発案プロセスによるアイディエーションの伴走支援サービスを提供申し上げることを、最初の打ち合わせでご提案申し上げました。

いわば、弊社からのデリバラブルの内容を「ピボット」させていただいたわけですが、弊社からの提案に、クライアント様はご納得いただけたようでした。

2.最初はマーケット(事業ドメイン)だけを絞り込んでいただく

エフェクチュエーションでは、いきなり「スジのいい事業アイデア」を発案(アイディエート)しようとはしません。あのiPhoneですら、そのような形でスティーブ・ジョブズのひらめき一発から生まれたプロダクトではないのです。

エフェクチュエーションでは、「手中の鳥」からリーチできそうな領域、思いつく事業領域にまずは手を伸ばそうとします。そこで今回は、MFTの方式にたとえるなら、いきなりFuncitons(機能)をリストアップするのではなく、まずは「攻めてみたい領域」としての Markets (市場)のみを発案いただきました、

弊社のアイデア出しメソッド「バイアスブレイクシナリオプランニング」に従った、2日間、合計6時間のテーマ出しセッションを、弊社のファシリテーションによりご実施いただき、クライアント様が持っていらっしゃる技術シーズで、まずは開拓したいと思う3つの市場を特定いただきました。

この導入事例の記事では、仮に、現在、B(クライアントのSIer様)to B(製造業)で提供されている、この技術シーズにあたるシステムを、

工場のマシニングセンタの保全システムに挙げるチケットの内容を、AIでわかりやすい形に噛み砕いて、テンプレにあてはめて書いてくれるシステム

だったとしましょう(もちろん、現実には、全く異なるシステムであり、技術でした)。

最初、馴れないので「ぶっとんだ」アイデア(誰でも考えつくようなものではないオリジナルのアイデア)をなかなか思いつけないようだったご担当者の方々でしたが、シナリオプランニングのセッションを重ねるうち、ついに、3つに、ターゲットとなる事業領域を絞り込むことができました。

仮にここでは、上の技術シーズの市場を、
①ビル管理
②フィールドサービス
③外食産業
で活用したいと考えついた、としてみましょう。
私がファシリテーターとしてみていて、③が最も面白そうだと思いました。

3. いきなり顧客インタビューを実施する

通常なら、市場を特定するだけでなく、ビジネス企画(ビジネスプラン)を机上で検討、一定以上洗練させてから、顧客インタビューを実施しようとするでしょう。しかし今回は、エフェクチュエーションに則って、逆立ちしたやり方をやっていただくことをおすすめしました。

まずは市場を決め、漠然としたビジネス企画を立てた後、いきなりその市場に存在するステークホルダー(主に顧客と想定するターゲット)に聞き取り調査(顧客インタビュー)を実施したのです。

今回は三か月と、短期間のご依頼だったため、通常はあまり実施しないやり方なのですが、インタビューは弊社がすべて代行する形をとらせていただきました。

この方式の最大のメリットは

ビジネス企画の大きな変更(ピボット)に、やりなおし、手戻りが事実上全く生じない

ということです。なぜなら、事実上、全く開発は進められていないからです。

No Plan Survives First Contact With Customers. /顧客との初めての遭遇で、書き直しにならないビジネスプランは存在しない。(スティーブ・ブランク)

と、リーンスタートアップメソッドの金言の一つで表現される通り、ビジネス企画はあくまでオフィスの中の妄想として生まれるため、顧客にぶち当てない限りは、それが構想通り機能するかどうかわからず、そして事実上、すべてのビジネス企画は顧客の反応によって大なり小なり変更を余儀なくされます。したがって、モノを造り始めるはるか手前の、メモ書きの上にしか企画が存在しない段階で、その現実味をチェックするのが、常に効率の良い方法なのです。

今回は、私の進言で、ある市場の、あるテーマに関して、漠然と「こんな感じの課題がある方?」という募集の仕方で顧客候補の方々にお集まりいただきました。その数は、直接の顧客以外のステークホルダーの方々も含めると、総勢50名近くに上りました。

私は、顧客インタビューのプラットフォーム Spready と個人のネットワークを駆使して、これらのインタビューイたちを集め、インタビューを進めながら、遂次、勘所となるインタビューに関しては、議事録という形で、クライアント様に報告していきました。

その結果、インタビューは、こんな感じで推移していきました。

  1. 事業領域:ビル管理
    すでに「エアコンがおかしい」などの不具合をレポートし、それを受けて遠隔で事象を確認し、即時に修復しに向かうスタッフのディスパッチまで、無駄なく洗練されたシステムとプロセスで運用するよう、大手企業を中心に一定以上市場の成熟が進んでいる状態であり、今からクライアント様が、この業界に入り込んでそれなりのシェアを勝ち取るにはハードルが高そうな状況でした。
  2. 事業領域:フィールドサービス
    これもすでに、複合機やPOSなどを修理したり置換したりする業界の洗練されたメカニズムが完備されていました。例えば複合機にはエラーをエラー番号で通知するシステムが搭載されていたり、POSはハードウェア側での自己診断や事前通知が進んでおり、この市場にも、クライアント様があえて参入する理由はなさそうでした。ただし、この業界のインタビューを重ねるうちに、面白い近傍領域の問題が見えてきました。
  3. 事業領域:外食産業
    この事業領域が、案の定、最も開拓の余地が多く、探索していて、最も興味深い領域でした。

4.インタビューをしながら、動的に事業アイデアを生み出し、つぶしていく

この、インタビューを有機的にアイデア出しに絡めた、事業開発の初期段階の進め方の最も大きなメリットは、

大したアイデアパーソンでなくても、顧客(候補)にあたっては砕けているうちに、最も儲かりそうな少数の事業アイデアに自動的に収斂していく

というところです。

現実にどうなったか、例えで説明していきます。

  1. 事業領域①に関しては、この市場そのものを対象外とすることで、チームの意見が一致しました。わざわざレッドオーシャンに飛び込んで苦戦する動機がなかったのです。
  2. 事業領域②も対象外となりましたが、興味深いことに、そうしたハードウェア機器メーカーの物流・倉庫(マテハン)の領域には、例えばベルトコンベアが停止した、といった問題管理の面で、当該技術シーズと非常に相性の良い、適用領域を見つけることができました。それは、これから人間に変わってロボットが全てを仕切る時代が到来したら、より一層、問題が大きくなる領域でした。
    ここでは、最終的に、事業アイデアが一つ、最終化まで行き着きました。
  3. 事業領域③外食産業、この事業領域が、案の定、最も開拓の余地が多く、探索していて、最も興味深い領域でした。B to B to Cの、末端のCにたくさんインタビューしていったら、インタビューイたちは饒舌(じょうぜつ)に、自らが直面したさまざまな問題について語ってくださったのです。また、この領域では、例えばホールスタッフやそのさらに裏方のキッチンのスタッフにも聞き込みを行い、5つ出てきた事業アイデア同士を戦わせ、すべてのステークホルダーが納得のいく事業アイデア一つに絞り込むことができました。

私はリアルタイムでインタビューの進捗状況をクライアント様にシェアしながら、都度、ご担当者にお集まりいただいて、どのアイデアを無しにするのか、どのアイデアを生き残らせて、改変(ピボット)するのか、と言った議論を重ねていただきました。

こうして、「事業領域②‘(ダッシュ)」と「事業領域③」において、それぞれひとずつ、その事業領域におけるステークホルダーたちの問題を一挙に解消しつつ、果ては社会問題まで解消できるという、事業アイデアに行き着きました。

そして私は、これらの事業アイデアを、生成AIをフル活用して肉付けしながら、初期にご依頼いただいた提案書にまとめあげました。

現在、クライアント様では、まずは社内の了解をとって、事業化を進めるための交渉を進めていただいている最中です。

 

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